ちょっと前まで暑くて床に転がっていたのに、もうまん丸くなって寒そうにしている。防寒対策は色々あるけれど、ストーブは危なそうで心配。でも、猫は寒がりだと聞くし、エアコンだけで大丈夫かな、そんな悩みはありませんか?本格的な冬が来る前に、猫にとって安全で快適な防寒対策を整えてあげましょう!
猫は寒さに弱い、これって本当?
見た目ふわふわと暖かい毛皮で寒さに強そうに見えますが、猫は寒さに弱い動物です。冬が近づくと風邪を引きやすくなり、トイレに行くのが億劫で膀胱炎を発症するなど体調を崩しやすいので、十分に対策することが大切です。
猫が寒さに弱いと言われる理由とは?
猫は元々、暑い地域の動物です。出身地は砂漠地帯、先祖のリビアヤマネコは水の少ない環境でも生きられる、乾燥に強い体をしています。つまり、大量の水なんて見たことは無く、「雪ってナニ?」というレベルです。当然、寒さへの耐性は弱いです。人や犬より動きが少なく(野生でも長距離を走って狩りをせず、奇襲と瞬発力勝負)筋肉量が少ないため、冷えやすいとも言われています。
寒さへの耐性がある猫がいる?
特定の猫種や環境によって、寒さに耐性を持つ猫もいます。
- ペルシャ、メイン・クーン、ノルウェージャン・フォレスト・キャットなど寒冷地で生まれた、ダブルコートの長毛種
- 運動が好きで、筋肉量が多い猫
- 肥満気味で脂肪が多い猫
- 寒い地域に住んでいる猫、野良猫
寒さに多少耐性があるとはいえ、個々によって異なります。寒冷地出身のふさふさ長毛種猫であっても、その子によって寒いと感じる気温が異なるため、様子を見てあげましょう。
猫が寒いときに見せるサインは?
体温が下がってしまわないように、猫は寒さから身を守る行動をします。例えば、
- 体をまん丸くして寝ている
- 物陰にもぐりこむ
- 怒ったり驚いたりしていないのに、毛を逆立てている
- 人の側にくっついて離れない
- たくさん食べるのに水を飲まない
などが見られると、猫は寒いと感じているでしょう。
特に、生後間も無い子猫は自分で体温を維持できません。母猫の体温と同じくらいの温かさをキープする必要があるため、子猫のいるスペースのみペット用ヒーターや段ボールなどで保温してあげましょう。活発に動けるようになったら成猫と同じ環境で大丈夫です。また、老猫も運動量が減って筋肉が衰えるため、成猫より2~3度エアコンの温度設定を高くしましょう。
猫の暖房アイテム、おすすめは?
猫にとって危険の及ばないものを選びましょう。石油ストーブなど器具そのものが熱くなるものは、やけどをするとも知らずに飛び乗ったり、くっ付いたりするため大変危険です。使用する際には必ず人の目の届くところでチャイルドガードなどを併用し、安全に配慮して下さい。猫が快適に過ごせる室温は18度~26度、湿度は50~60%です。防寒対策に気を取られるあまり空気が乾燥していると、鼻や喉の粘膜バリア機能が低下して、ウィルスに感染しやすくなってしまいます。加湿器などを用いて湿度管理も注意しましょう。
こたつ
1度入ったら、2度と出ることは敵わない魅惑の暖房具です。中に潜り込んで気持ち良さそうに寝ている猫の姿は幸せそのものですね。ただし、猫と一緒に使う時には注意が必要です。
- 低温やけどの危険!
人用のこたつは温度設定が高く、猫にとってやけどの恐れがあります。また、ヒーターが直接体に当たってしまうため、温かく過ごしている内に広範囲のやけどを負ってしまおそれがあります。低温やけどは痛みを感じにくく広範囲に及ぶため、気がつくと重傷になっているケースにあります。温度設定は低めにし、十分注意して見てあげましょう。
- 酸欠・脱水の危険!
こたつ布団で密閉された狭い空間では酸欠の危険があります。また、猫はこたつでミカンを食べたりしませんので、知らず知らずの内に脱水症状を起こすことがあります。自分で外に出て調整する子もいますが、布団に隙間を作っておく、定期的に水を飲むように差し出してみるなど対策が必要です。
人用のコタツを一緒に使うのは怖い、そんな時は猫用こたつが市販されていますので活用しましょう。猫用に温度設定は高くなりすぎず、ヒーターが直接体に当たらないよう設計されています。また、コードを囓ってしまわないように厳重に保護されているものが多いので、更に安心です。市販されているもの以外でも、小さなテーブルや椅子にお気に入りのブランケットをかけてあげるだけでも中にこもって手軽なこたつとして代用できます。
ペットヒーター
人用の電気カーペットなどを猫も好んで使いますが、やはりこたつ同様温度が高すぎて低温やけどの恐れがあります。ペット用のヒーターは温度が熱くなりすぎず、電気コードもイタズラ防止のカバーがしっかりしています。ゲージで使用したい、またはコンセントが遠い場所で使う場合は、コードの長いタイプもありますので、商品詳細をよく確認してみましょう。
猫鍋、ふわふわのカバー付き、丸い・四角い・広範囲タイプと様々な種類がありますので、使用したい場所や猫の好みに合わせて選びましょう。筆者の猫は丸いヒーターがお気に入りで寒い夜には毛布をサークルベッド状に整え、ヒーターを入れておくと喜んで丸くなり、すやすや寝ています。
冷暖房付きエアコン
やけどの心配が無く、室温を一定に保つのに最適です。猫が留守番する時には自動設定で付けておけば快適に過ごせて、やけどの心配が無いと良いことずくめですが、空気が乾燥しやすいため、加湿対策を併用する必要があります。様々な加湿対策がありますが、やはり加湿器が一番効果的。熱い蒸気が出るタイプの加湿器は猫が火傷をする可能性があるため、超音波式の加湿器の方が安全です。
暖房効率を上げるためには、窓は二重構造であることが望ましいですが、断熱シートを貼るのも効果的です。ただし、窓から外を眺めるのが好きな猫もいますので、できるだけ透明なシートが良いでしょう。
湯たんぽ
電気代要らずのエコな暖房具です。昔ながらのお湯を入れるタイプ、レンジでチンするだけで温まるタイプと種類も様々。どちらもやけどの心配がありますので、お湯を入れるタイプは40~50度のお湯を入れ、レンジでチンするタイプも熱すぎないか確認してから、どちらもカバーをかけて使用しましょう。
ベッドの位置はどこが良い?
窓の近くはひなたぼっこができるので猫のお気に入りですが、窓際は気温が下がるので室内の暖かい場所にベッドを増設してあげると良いでしょう。棚の上などの高いところにドーム型のベッドを置いてあげると、狭い空間が猫の体温によって温まるので、より防寒効果が高いです。こもるのが嫌いな子には、ベッドの中に暖かい毛布などをプラスしてあげると良いです。
高いところに移動するのが億劫な老猫には、床の上でも下に断熱効果のあるアルミシートを敷く、段ボールで家を作ってあげるなど対策して、お気に入りの場所で暖かく過ごせるよう工夫してあげましょう。
また、ゲージ内にベッドがある場合はゲージ自体を毛布で覆うと保温できて暖かくなります。
暖房と一緒に行うと効果的なお手入れ
ブラッシングをして血行を促進させるとより効果的です。皮膚を刺激することで新陳代謝も活発になります。ただし、湿度が低いと静電気が発生してしまうので、湿度管理も注意しましょう。
筆者と暮らしている猫のようにブラッシングが大嫌いな猫も、体を触ることを嫌がらないようなら、温めた手でゆっくりなでてあげましょう。手でなでるだけでもブラシほどでは無いですが、ある程度ブラッシングの効果があります。
暖房を使用する際の注意点
便利な暖房器具のおかげで寒い冬も快適に過ごせる訳ですが、猫と一緒に使う上で注意しなければ命の危険がある場合もあります。詳しく見ていきましょう。
急な温度変化に気をつけよう
1日の中での温度変化や廊下に出た途端に室温が大きく変化するのは、人にとっても危険ですが、猫の体にも負担がかかります。常に快適な室温を保てるように、エアコンはタイマーよりも自動設定の方が安心です。他の部屋との温度差も、4度程度が理想と言われています。特に持病を持っている子や、老猫と暮らしている方は室温が大きく変動しないように心がけてあげましょう。
低温やけどに気をつけよう!
低温やけどとは、こたつ・ホットカーペット・湯たんぽなど触っても熱くないもの(40~50度)に長時間くっ付いていることで起きるやけどです。普通のやけどなら、熱湯や熱した油が跳ねて「熱い!」と感じたら直ぐに冷やすと思いますが、低温やけどはじわじわ進行するため気づきにくく、重傷化してしまうことがあります。特に猫は被毛や皮膚が厚く、熱いものに対して鈍感なため、ストーブにくっ付きすぎて被毛が焦げることも。一緒に人用の暖房器具を使う時は、様子をよく見てあげると共に、厚めのカバーを使って予防しましょう。また、老猫や病気で弱っていて寝ている時に体を動かしにくい子は特に注意が必要です。
脱水症状に注意!
猫はほとんど汗をかかない動物です。少ない水分で効率よく体を維持することができるので、水を飲むのをサボりがちです。特に、寒い冬は冷たい水を飲むのが嫌で飲まない、こたつの誘惑に負けてぬくぬくしている内に気づいたら脱水状態になることも。普段よりも水を飲む工夫として、
- ぬるま湯を用意してあげる
お水も好みが色々ありますので、ぬるま湯が気に入ったようでしたら、季節問わず用意してあげて下さい。
- 暖かい場所に水飲み場を増やす
- ウェットフードをあげる
ドライフードより歯にくっ付きやすいので、しっかり歯みがきをしてあげて下さい。
- 簡単なスープで風味を付ける
ドライフードにかつお節をトッピングするのが好き、ジェル状のおやつが好きな子には、簡単にスープを作ってあげるとよく飲むことがあります。鶏肉を煮ただけのスープも、風味が付いて喜ばれますので、好きな味を探してみましょう。もちろん、人のように調味料での味付けはしないで下さいね。
など、対策してあげると良いでしょう。流れる水が好きな子には、この機会に給水器を試してみるのも良いですね。
暖房からの逃げ場所も必要?
寒さに震えているなんてかわいそう、とどこもかしこも暖かくしてしまうと、暑くなってきた時に暖房を切って調整することなど猫にはできません。自分で調整できるように暖房の入っていない部屋に出入りできるようにしておくと良いでしょう。
火事の原因にならないよう注意しよう
ストーブを倒してしまうという直接的な原因の他、留守番中に電気コードをかじったり、おしっこをかけたりしてショートさせる、ガスコンロのスイッチに触れて点火など、怖い事故が火災に繋がります。見落としがちですが、バッテリーやスマホなどは外から力を加えると破裂・発火する恐れがあります。
特に冬は暖房器具などで電源を入れっぱなしにしておくものも多いため、予防できるものは実施しておきましょう。
- ガスコンロの元栓を閉める
- 使っていない電源コードは抜いておく
- コードにイタズラされないように隠しておくかカバーをつける
- バッテリーやスマホは放置しない
- 日頃の清掃時、コンセント穴も埃がたまらないようにマメに掃除する
- 猫が乗りやすい電化製品に防水カバーをかける
など、基本的な火災予防対策にプラスして猫に対する対策も行っておくとより安心です。
まとめ
寒い冬、猫と一緒に暖かく過ごすには安全への配慮も大切です。様々な暖房器具を組み合わせて、その子にとって快適な環境を整えてあげて下さい。一緒にいられる日は、人の温もりが一番安全な上にお互い暖かくて最高ですね!万全の防寒対策で、のんびりと冬を楽しんで下さい。