ブリティッシュショートヘアの特徴、飼い方のコツを伝授!

猫の百科事典 「不思議の国のアリス」のチェシャ猫のモデル!ブリティッシュショートヘアの性格は?飼い方のコツは?

執筆/ごまさば

不思議の国のアリスに出てくる架空の猫のチェシャ猫は、実はブリティッシュショートヘアがモデルです。ここではチェシャ猫のモデルとなるだけの不思議な魅力をもつブリティッシュショートヘアの特徴や性格などについて紹介していきます。

ブリティッシュ・ショートヘアってどんな猫?

ブリティッシュ・ショートヘアってどんな猫?

ブリティッシュショートヘアは一般的に独立心が強いと言われています。飼ってみたいと思う方も触ってみたいと思う方も、その特性を知りコミュニケーションをうまくとることが、猫との関係を円滑にするためにも大切です。

身体の特徴

ブリティッシュ・ショートヘアの一番の特徴は、大きく丸い目と短めの鼻、若干小さめで離れていて先端に丸みがある耳です。成猫になるにつれふっくらした顔立ちになりますが、子猫の頃の比較的スッとしています。

筋肉質でがっしりとしたセミコビータイプで、中~大型猫に分類されます。成猫になると、体長は約40~50cm、体重はオスで約4~9kg、メスで約3~6kgに成長するといわれています。成長スピードは遅く、3~5年ほどかけて成猫になります。

短毛種に分類されますが、その被毛は密集しており、厚みのある滑らかな触り心地の毛質です。オーバーコートとアンダーコートの二重構造のダブルコートのため、換毛期には抜け毛が非常に多くなります。

被毛カラーはブルー系、クリーム系、ブラック系、薄い毛色の三毛猫と呼ばれるダイリュートキャリコに分類されます。柄は単色のソリッド、しま模様の入ったトラ柄のクラシックタビー、魚のサバのようなしま模様のマッカレルタビー、体の両側に点々が見られるマッカレルタビーのしま模様が途切れた柄のスポテッドタビー、同じ割合で2色の毛色が不規則に混ざりあっているトーティ、根元が薄い色になっているスモーク、白色に1~2色の毛色が混ざっているバイカラー、鼻や耳の周りに色がついたポイントなど多くの種類が存在します。

目の色はカッパー、グリーン、ゴールド、ブルーと様々です。

どんな性格?

独立心・自立心が高く、我慢強く穏やかで、騒がしい環境をあまり好みません。飼い主には忠実で愛情深いとされる一方、過度なスキンシップを嫌う面があります。撫でたり抱っこされたりするのを嫌がる傾向にありますが、本猫が構って欲しいときには積極的に近寄ってきます。

独立心が強いのですが、とても賢く忠実、褒められることが大好きという性格も持ち合わせています。無駄に鳴くこともなく、お留守番も一人でできる我慢強さもありますが、独りの時間が長いとストレスを溜めてしまうことがあります。甘え下手な部分があるので、飼い主さんは愛猫の様子をよく観察し、状況と性格に応じてストレスを与えない程度のスキンシップをとるようにしてください。

ブリティッシュ・ショートヘアの歴史

ブリティッシュショートヘアの歴史は大変古く、古代ローマ帝国の時代に遡り、イギリス最古の猫と言われています。

ローマ軍は海外遠征の際、食料をネズミの被害から守るために猫を船に乗せていました。イギリスに来た猫たちは、ネズミ退治のために農場や家庭で暮らし始め、自然繁殖で数を増やしていきます。1820年頃から計画的な繁殖がはじまり、1871年ロンドンで開催された世界初のキャットショーに、有名なブリーダーが作出したブリティッシュ・ショートヘアが優勝、世界中で注目されました。1901年、自国の猫と公認され、ブリーディングが盛んに行なわれるようになりました。

ブリティッシュ・ショートヘアとの暮らしで気を付けること

ブリティッシュ・ショートヘアとの暮らしで気を付けること

自立心が高く賢いブリティッシュ・ショートヘアとの暮らしでは、飼い主さんが気を付けることも多々あるので解説していきます。

飼育環境

ブリティッシュ・ショートヘアは騒がしい環境が苦手なので、多頭飼育や小さいお子様がいるご家庭では、ストレスを溜めてしまうことがあるかもしれません。個体差もあるので稀に騒がしい環境に順応できる場合もありますが、なるべくなら静かで落ち着いた飼育環境が望ましいです。多頭飼育や小さなお子様がいるご家庭に迎え入れる場合には、段ボールやキャットタワー、ケージなど、一人になれる避難場所を用意してあげると良いでしょう。

食事の管理

筋肉質で体格がしっかりしているので、高カロリー高たんぱくの食事が必要ですが、太りやすい体質のため、しっかりとカロリーコントロールをして食べすぎには注意してください。特におやつをあげる場合には、おやつの分を差し引いてご飯をあげるようにしましょう。

お手入れ方法

短毛なので換毛期以外はそこまで抜け毛が気になることはなく、お手入れも難しくありませんが、ダブルコートのため1日1回程度の定期的なブラッシングをしてあげてください。触られることが苦手な猫種のため、子猫の頃からブラッシングやシャンプーなどのお手入れに慣れさせておくと成猫になってからもスムーズに行えます。

運動・スキンシップ

活発な猫種ではありませんが、太りやすい体質のため、運動量を確保するようにしましょう。ブリティッシュ・ショートヘアの先祖はネズミ狩りに使われていたので、じゃらしを用いて狩りに見立てた遊びや、キャットタワーで運動量を確保すると良いでしょう。穏やかに過ごすことも好きですが、遊ぶことも大好きなので、1日最低でも10分~15分は遊びの時間を設け、しっかりとスキンシップをしてください。

ブリティッシュ・ショートヘア、気をつけるべき病気

ブリティッシュ・ショートヘア、気をつけるべき病気

ブリティッシュ・ショートヘアは健康で丈夫な猫といわれており、寿命は14~20歳と比較的長寿な猫ですが、かかりやすい病気もいくつかあるので注意が必要です。

糖尿病

糖尿病はインスリンの分泌が十分できず血液中に糖が増え、血糖値を下げる作用が十分にできなくなる病気です。主な原因は、肥満、ストレス、偏った食事、加齢です。

糖尿病の初期症状は、大量の水を飲み大量の尿を排出する多飲多尿、食欲はあるのに体重が減少するなどです。初期症状の段階で異変に気付けば良いのですが、症状が進んでしまうと、白内障・腎疾患・肝疾患などの合併症がおこることもあります。根本的治療は困難で、対処療法として適量のインスリン投与をおこないます。

尿石症

尿結石は腎臓や尿管、尿道、膀胱などに石や砂ができる病気です。抵抗力の低下やストレス、また水を飲む回数が少なかったりビタミン等の栄養不足などが原因でかかりやすくなります。

目に見える症状は、頻尿(おしっこがほとんどでない状態)、血尿、発熱、食欲不振などです。他にも、排尿の時に痛がって声を出したり、背中を丸めてしまうこともあります。症状が軽い場合は療法食や薬で石を溶かしますが、結石が尿路に詰まる尿路閉塞になってしまうと、超音波やカテーテルによる治療や外科手術で石を取り除くことになります。

予防策としては、肥満にならないよう体重管理をすること、いつでも新鮮な水が飲めるようにすること、ストレスを溜めない環境づくり、こまめに掃除をしてトイレを清潔に保つことなどがあります。できれば日頃から、1日のオシッコの量、色、ニオイなどをチェックしておくと、異変に気付きやすく病気の早期発見につながります。

肥大型心筋症

肥大型心筋症は心臓の壁が厚くなり、血液を全身に送る収縮に支障が生じる病気です。遺伝によるものと言われており、シニアになってから発症することが多いのですが、稀に若猫でも発症します。

食欲低下や元気がなくなる、歩き方がおかしい、苦しそうな様子が症状としてみられますが、病気が進行してしまうと、心不全、大動脈血栓寒栓症などにより、突然死する危険性があります。心臓の収縮力を高める薬の投与やストレス管理が主な治療法となります。症状が進行してから気付くことも多い病気のため、定期的に胸部レントゲンや心臓のエコー検査を行うことが予防策です。

遺伝性の病気

遺伝性の病気として、先述の肥大型心筋症や糖尿病のほか、血が止まりにくくなる血友病多発性嚢胞腎、被毛が白い猫にみられる聴覚障害新生子溶血といわれる血液型がB型の母猫がA型の子猫に母乳を与えたときに赤血球が壊れる拒絶反応、眼球に外見的異常がないのに目が見えないレーベル先天黒内障猫伝染性腹膜炎皮膚病、難産などがあげられます。

血液型にも注意!

猫の多くがA型の血液型といわれていますが、ブリティッシュ・ショートヘアの約4割がB型の血液型です。そのため、事故や病気で輸血が必要になった際、血液が確保できないこともあります。出来れば子猫のうちにかかりつけ医で血液検査を行い、B型の血液を用意して貰えるか、用意して貰えない場合には他の病院を紹介して貰えるかなど、有事の事を想定して確認しておくと安心です。

ブリティッシュ・ショートヘアと暮らしたい!どこから迎える?

ブリティッシュ・ショートヘアと暮らしたい!どこから迎える?

ブリティッシュ・ショートヘアを迎えるにあたり、ペットショップ、ブリーダー、里親になるなどの方法があるのでそれぞれ解説していきます。

ペットショップ

人気猫種のブリティッシュ・ショートヘアは、ペットショップで出会える可能性が高いです。ペットショップではトイレのしつけを終えた子が多いので、1から教える必要はありません。また、マイクロチップの装着が義務化されているので、もしも迷子になっても再会できる可能性が高いです。ペットショップですと、フードやトイレ、キャリーケースなどその子にあったものを一緒に揃えられるので、お迎えしたその日から最適な住環境で暮らして貰うことができます。

ブリーダー・キャッテリー

猫の繁殖をおこなっている個人をブリーダーといい、その中でも主要な猫の血統書登録団体であるTICAやCFAに認められているブリーダーをキャッテリーといいます。ブリーダーやキャッテリーから迎える場合には、親猫を見ることが出来るので、将来の姿が予想できるのもメリットのひとつです。

注意したいのは、ブリーダーの中には繁殖の道具として猫を見ている悪徳ブリーダーと呼ばれるところもある、ということです。稀に劣悪な環境化で繁殖をしている所もあり、先天性の病気を隠して引き渡すこともあるようです。親猫の様子や飼育環境を見せたがらないブリーダーや、ネットでの取引・ペット専門の業者による配送を推奨しているブリーダーには注意が必要です。

里親になる

様々な理由から保護され、新しいおうちを探しているブリティッシュ・ショートヘアもいるので、里親サイトや団体から迎え入れることもできます。里親になる場合、子猫に出会えるとは限りませんし、ブリティッシュ・ショートヘアそっくりのミックス猫という場合もあります。

コロナ禍でお家時間が増えたため安易な気持ちで猫を迎え入れ、飼いきれなくなって手放すひとも少なくありません。小さな命を助けるために、里親という方法を検討するのも良いでしょう。

まとめ

ブリティッシュ・ショートヘアは比較的飼いやすい猫ですが、性格によりストレスを感じやすい個体もいます。愛猫にあった環境、食事、運動やスキンシップを飼い主さんが心がけて、病気を予防し元気で長生きさせてあげてください。

執筆者
猫飼い歴6年。 ブリショとマンチカン2匹の猫とドタバタでモフモフの日常を過ごしています。 キャットケアスペシャリスト資格あり。 いつか猫さまに関わる仕事にどっぷり浸かりたいので日々勉強中です。