猫の目の色の種類や視力について徹底解説

猫の百科事典 猫の目の色はどうやって決まる?視力はいいの?猫の目の不思議を徹底解説!

執筆/水科希望

光に透ける、美しい色合い。キラキラ輝く瞳が真っ直ぐ見つめてくれたら、それだけで恋でもしているかのように胸が苦しくなってしまいますね。それにしても猫の目にはたくさん種類があるように見えるけれど、いったいどんな種類があるのだろう?そんな疑問に答えます!

猫の目の特徴は?

猫の目の特徴は野生で生きていた頃の名残を強く残しています。薄暗くても見える、動く物ほど良く見える、遠くの方が良く見えるなど狩りをするのに最適な特徴が満載なのです。詳しく確認していきましょう。

人間の目と猫の目大きな違いはどこ?

人と猫の目で大きく違うのは、視野と視力、そして光の感知力が異なります。それぞれ比較してみましょう。

【視野】

  • 人の場合

180度から200度、つまり斜め後ろにあるものは、ほとんど見えません。

  • 猫の場合

両目で285度(!)頭の真後ろはさすがに見えませんが、人よりも遙かに広い範囲をカバーできます。鋭い聴覚と合わせ、音の聞こえた方向に首を動かせばほぼ死角はありません。優れたハンターです。

【視力】

  • 人の場合

環境によっても異なりますが、視力の良い人だと2.0という方も。また、衰えた視力を補う眼鏡やコンタクトでカバーでき、鮮明な色覚を持っています。

  • 猫の場合

0.2~0.3程度ですが、動体視力に優れています。人でもプロ野球選手は剛速球で飛んでくる野球ボールの縫い目が見えるほどの動体視力を持つ方もいますが、猫は1秒間に4mmの僅かな動きですら感知できます。また、25㎝より近いとボンヤリしてしまいますが、75㎝より先に行くほどハッキリ見えます。遠くで動く物を上手に捉える視力ですが、色覚は苦手です。青と緑は分かるようですが、赤はよく分かりません。

【光の感知力】

  • 人の場合

光が無ければ視覚はゼロになります。暮れかかった夕方頃に交通事故が多発するのも、急に光を失っていく時間帯に目が慣れず、通常より更に視覚が弱っているためです。偉人エジソンが電球を開発していなければ、人は今もなお、暗闇に怯えて過ごしていたでしょう。

  • 猫の場合

猫の瞳孔は昼間、針のように細く、暗くなると一気に大きくなります。人よりも6倍光を感知でき、暗闇の中でも僅かな光を取り込んで視界を確保できます。月明かりだけでも獲物を捕まえるのに苦労することはありません。光の関知力が強い分、強すぎる光は苦手ですので、写真を撮る時、フラッシュをたくのは避けましょう。人でも眩しくて目がチカチカしますが、猫はその130倍も眩しさを感じると言われています。

なぜ瞳孔の大きさが変わるの?

猫の瞳孔が大きくなるのは、興奮状態でなければ暗くなったからです。猫の目は光を強く取り込む力があり、普段は瞳孔を細めて光が入りすぎないように調整しています。瞳孔を大きくすると、たくさん光を取り込むことができるので夜でも、月や星の僅かな光を使って暗闇でも獲物を見ることができるのです。光の少ない暗闇こそ、ハンターとして猫の本領です。

また、猫の目の状態は感情を表しています。

  • 満足→目を細める
  • 緊張→左右の目の大きさが異なる
  • 興奮→明るいところでも瞳孔が大きい
  • 眠い→目がたれて、瞬膜(眼球を保護する膜)が目を覆う
  • 集中!→瞳孔の大きさが細くなったり大きくなったりして、集中しているものに照準を合わせようとしている。カメラのピント調節をしている状態

遊んでいる時に目がまん丸になっているのは、大変興奮している時なので手出しすると痛い目をみます。十分注意しましょう。

なぜ夜になると光るの?

網膜の後ろに、タペタムという反射板があるからです。夜行性動物に見られる特徴で、僅かな光を2倍にして暗いところでも鮮明に見えるようになっています。野生で生きていた頃、獲物である齧歯類が活発に動き回る薄暗い時間帯に合わせて進化した目です。反して昼間の視力は悪く、その時間は昼寝をして体力を温存します。

キトンブルーってなに?

生まれたての子猫に見られる目の色です。猫の目の色は多種多様ですが、生まれたばかりの子猫の目は皆同じ青灰色です。色が変わるタイミングは猫によって様々ですが、大体3週間~8ヶ月を過ぎると本来の目の色になります。子猫の目はまだ色素沈着していない状態であり、体内でメラニン細胞が活性化していくことで本来の色へと変わっていきます。あどけない子猫の、優しい青灰色の瞳はほんの僅かな間だけの特別な色なのです。

猫の目の色、どうやって決まるの?

猫の目の色は遺伝によって決まります。猫種によっては色が決まっている場合もありますが、それ以外は両親から受け継いだ遺伝子の組み合わせによって変わるため、同じ時に生まれた兄弟でも目の色が異なることも多いです。

目の色が決まる仕組みとは?

メラニン色素量が多いと濃い色に、少ないと薄い色になります。目安として、日照量の少ない地域出身の猫は色が淡くなり、日照時間の多い地域出身の猫は色が濃くなると言われています。

毛色によって目の色は決まる?

前述したように、目の色はメラニン色素量によって変わります。よって、メラニン色素の多い黒猫は濃い色合いが多くなるのです。ただし、稀に黒猫でもブルーの瞳を持つ子もいます。様々な遺伝子情報によって異なるため、毛色も関わりはありますが、全てを決定するものではありません。

目の色と性格、関係はあるの?

科学的な根拠はありませんが、関係性があるのではないかと考えられます。例えば、

  • ブルー→シャイで臆病、知的で繊細かつ執念深い
  • グリーン→賢く個性的、物静かで我慢強い
  • ヘーゼル→好奇心旺盛、責任感も強いが、時に無鉄砲なところも
  • アンバー→空気を読むのが上手く、人懐こい
  • カッパー→活発で好奇心旺盛、賢くて甘えん坊

などと言われていますが、猫の性格は生活環境によっても異なるため、完全にこの通りであるとは言い切れません。

猫の目の色、何種類?

大きく分けて5種類あります。それぞれ特徴がありますので、詳しく見ていきましょう。

ブルー

淡い水色(アクア)や濃いサファイアブルーまでブルーといっても色彩は異なりますが、実は猫の目はブルーに見えているだけで、その色は存在していません。なぞなぞのような話になってしまいますが、猫の目が青く見えるのは、空が青く見えるのと同じ、レイリー拡散という光の作用なのです。ブルーに見える目は色合いを決めるメラニン色素がほとんど無く、実は色が付いていないのですが、レイリー拡散によって人の目には青く見えます。

グリーン

ブルーの次にメラニン色素が少ない色で、主に日照時間が短い北国を原産とする猫に多い色です。前述通り、猫の目と日照時間は関わりがあると言われており、日照時間の少ない寒い国には淡い色、逆に日照時間の多い熱い国には濃い色が多いと言われています。

ヘーゼル

グリーンからイエローにグラデーションしている、どちらの色にも見える色です。目の外側が薄いイエロー(またはブラウン)、内側がグリーンになっており、光の加減によっては最も濃いカッパーに見えることもあります。筆者と暮らしている猫の色はヘーゼルで、明るいとグリーン、暗いとゴールドに見えるため写真を撮る時に素人ながら光の加減を考えて撮影し、どちらの色も美しいので毎回見とれております。

アンバー(イエロー・ゴールド)

琥珀色。その名の通り、琥珀にそっくりなブラウンや、強いイエローになることもあり、ゴールドとも呼ばれています。メラニン色素はブルーやグリーンより多く、レモンイエローからゴールドまで様々な色合いがあるのが特徴です。

カッパー

銅色。赤みを帯びた茶色で、特に温暖な地域の猫に多い色です。太陽光を浴びることが多いため、メラニン色素量が増えたと言われています。日本も温暖気候なので土着の猫には多い目の色です。

こんな不思議な色もある!

普通の目の色も神秘的に美しいですが、更に貴重で珍しい目の色が存在しています。まるでゲームや漫画に登場するキャラクターのような不思議な目は、人の想像を超えた強い力が秘められているように感じられます。

オッドアイ

日本では金眼銀眼と呼ばれ、縁起の良い猫としてもてはやされていた、左右で違う目の色です。白猫に多く見られ、他の動物にも見られますが、その中でも特に猫のオッドアイは多いです。大変神秘的で美しいですが、オッドアイの猫は青い目の方に聴覚障害を抱えている可能性が高いと言われています。それは白猫の毛色を決定するW(ホワイト)遺伝子が色素細胞の動きを抑制すると同時に、音を増幅する器官の形成にも影響するからという説もあります。オッドアイの猫だけではなく毛色が白く、目が青い猫には聴覚障害が表れる可能性があるため、おかしな様子が見受けられたら、早めに獣医師へ相談しましょう。

ダイクロイックアイ

一つの瞳に二つの色がはっきりと分かれて入る、非常に珍しい色です。色の入り方には2パターンあり、

  • 中心型虹彩異色症

瞳の周りに指輪のように異なるカラーが出ます。原因は人がキャットショーに出すために猫の交配をし、失敗したという説があります

  • 扇形虹彩異色症

一部分または半分だけが扇のように色が異なっている

ダイクロイックアイはオッドアイの猫よりも更に発生する確率が低く、1000匹に1匹程度(またはそれ以下)しか発生しないと考えられています。中心型と扇形、どちらの形でも先天的なものですので、もしも成猫になってから突然ダイクロイックアイになった場合は、何らかの疾患が疑われるため早めに獣医師へ相談しましょう。

レッド

アルビノと呼ばれる、『先天性色素欠乏症』の猫に見られる目の色です。正確には目に色素が無いため、血の色がそのまま透けて見える状態のことです。紫外線から身を守るメラニン色素が存在していないため、室内で暮らしていても注意が必要です。メラニン色素と言えば人からすればシミを作る美肌の大敵ですが、メラニン色素は有害な紫外線から肌を守ろうとしているだけです。紫外線は猫にとっても有害で、守る機能の低いアルビノと白猫は窓にUVカット対策を施すなどの対策が必須となります。

目の色が決まっている猫種があるって本当?

猫は一緒に生まれた兄弟でも目の色・毛色・毛の長さも違うことがありますが、純血種の中には生まれる前から目の色が分かっている猫種も存在しています。

目の色がブルーの猫種

顔・耳の先・手足の先のみに色素を持つポインテッド柄の猫種で、シャム・バリニーズ・バーマン・ラグドール・ヒマラヤン・スノーシューの純血種は必ず目がブルーになります。『温度感受性遺伝子』という遺伝子を持つことで、体温が低い所だけで色素が作られ、体温が高いところでは色素が作られません。そのため、温かい体内にある目には色素が作られず、白猫と同じ原理で目が青く見えます。

目の色がグリーンの猫種

エジプシャンマウ・ロシアンブルー・ベンガルなどの純血種はグリーンの瞳のみが生まれる品種です。特にシルバーの毛並みが美しいロシアンブルーは、子猫の頃は淡いブルーで、次第に美しいエメラルドグリーンに変化していきます。

目の色がカッパーの猫種

 バーミーズ・ボンベイ・シャルトリュー・ブリティッシュショートヘアに多く見られる瞳の色です。毛色が固定ではない猫種は瞳の色も様々ですが、黒ヒョウのようなボンベイは毛色が黒のみであるため、カッパーやゴールド・オレンジ色の濃い色合いの瞳になります。

こんな時は気を付けて!目の色が変わる病気がある!

猫の目がキトンブルーから本来の色に変化するのは問題ありませんが、成猫の目の色が変わるのは何らかの疾患によるものと考えられます。最悪失明の恐れもあるため、速やかに病院へ連れて行きましょう。色によっては目以外の病気である可能性もあります。

赤くなる

目が赤くなる原因として考えられる病気は、

  • 結膜炎
  • ブドウ膜炎
  • 角膜と虹彩内が出血している(目全体が赤くなる)

白目部分に起こる炎症ですが、猫は白目がほとんど見えないため気づきにくいです。目をショボショボさせていたり、痒がったりしていて、あっかんべーの要領で下まぶたをめくり、赤くなっていたら上の2つが疑われます。痒がって前足でこすってしまうと症状が悪化する可能性があるため、早めに受診しましょう。特に目の中の出血がある場合失明に繋がる病気の可能性が高いため、注意が必要です。

白くなる

目が白くなる原因は、角膜に炎症を起こしている・角膜炎・角膜に傷が付いているなどが考えられ、

  • 角膜潰瘍
  • 白内障
  • 角膜混濁症

などの病気が考えられます。色の異常だけでなく、目をショボショボさせていたり目ヤニが増えていたりしたら、早めに獣医師への相談が必要です。

緑色になる

緑内障という目の病気にかかると濁ったような緑色に見えることがあります。緑内障にかかると目の充血が見られ、症状が重くなると眼球が拡大して飛び出てしまいます。猫は生活する上で視覚が無くても嗅覚や聴覚で補うため一緒に暮らしていても気づきにくく、定期的な健康診断や日々の健康チェックがとても大切です。

黒くなる

角膜黒色壊死症(角膜分離症・巣状表層壊死症)という猫特有の病気にかかると、黒目部分に黒い斑点が見られ、目が黒く見えます。黒い斑点部分は角膜が壊死したもので、黒い部分が厚くなって脱落すると眼球に穴が空いた状態になってしまうこともあります。外傷や猫ヘルペスウイルス感染との関連が疑われる病気ですので、完全室内飼いと定期的なワクチン接種を行いましょう。

黄色くなる

白目部分に黄疸が出来て黄色く見えることがあります。猫の目が黄色く見える時は、肝臓の病気・肝炎・肝硬変・細菌、ウイルス感染・腫瘍などが疑われますので、早めに病院で検査をして貰い、原因を突き止めましょう。

まとめ

猫の目は本当に宝石のように美しいですが、成猫になってから目の色が変化した場合には注意が必要です。日頃から健康管理を行い、綺麗な目を大事に守ってあげましょう。また、いくら綺麗だからとジッと見つめ続けてしまうと、猫からするとケンカを売っている行為になってしまうので、ほどほどにしましょう。

執筆者
東京出身、長野県在住のアパレル勤務兼ライター。 仕事に燃えに燃えていたが、ある日ふと「人ってストレスで死ぬんだよなぁ」と思い、絶対に叶えたい夢を一つ現実のものとする。 久しぶりに猫と暮らしたい、その夢を叶えたら次々に夢という名の野望が出てきて一歩一歩叶えている最中。 現在、猫と暮らす猫のための家を建てたい、最終的に小説家兼ライターに肩書きを変えたいという野望に燃えている。