猫の下痢には要注意!症状別の原因、対策、治療法を徹底解説

猫の健康 猫の「下痢」とは?色や状態による違いを知って、愛猫を守ろう!

執筆/ウミノリヨ

愛猫が体調を崩した際には、飼い主として適切に対処してあげたいもの。中でも下痢は、比較的によく見られる症状の一つです。一般的に下痢の原因は、消化不良など消化器官の不調であることが多く、他にも、何らかの病気可能性もあります。

では、どのように症状を見極めるのが正解なのでしょうか?いざという時、適切に処置してあげるためにも、猫の下痢について、基本知識を身に着けましょう!

猫の「下痢」にはいろいろな種類がある

猫の下痢には、いくつかの種類があり、また、その種類によって原因を推測することが可能です。

水分の多い下痢(水様便)の場合

通常の便に含まれている水分は約70%であると言われており、便の水分量が80%以上になっている状態を「下痢」と呼称します。中でも「水様便」はその名の通り、水のような状態の便を指し、水分量は90%にもなります。猫の便は通常、固くコロコロとした状態なので、この水様便を起こした場合は異常に気付きやすいでしょう。

水分が少なめの下痢(軟便)の場合

上述した水様便ほど水っぽくはないものの、通常の便に比べて柔らかい状態を「軟便」と呼びます。

こちらは、見た目では少し分かりづらいものの、上から力を加えると簡単に潰れる程度の硬さをしています。通常の場合であれば猫の便は硬いため、トイレ掃除の際などに違和感に気付く方が多いのではないでしょうか。

血、粘液の混じっている下痢(血便・血様便)の場合

軟便や水様便などの状態と併発して、便に血液が混ざる血便を起こしているケースもあります。

便に赤い血液が混ざっている場合には、肛門に近い大腸での出血が考えられます。便に黒っぽい血液が混ざる黒色便の場合、胃や小腸で出血が起きている可能性があります。出口である肛門から離れた部位で出血し、排泄されるまでに黒く変色、凝固して黒色便になります。

また、血液ではなく便に粘液が混ざっている場合もあり、こちらは「粘液便」と呼称します。ゼリー状の粘液が混ざる粘液便は、大腸に何らかの異常が生じている場合に発生します。

急性の下痢、慢性の下痢の場合

下痢には大きく分けて2パターンがあり、急性の下痢と慢性の下痢に分類されます。

急性の下痢であれば、多くの場合、1週間から2週間ほどで収束しますが、一方で慢性の下痢の場合には、一般的な治療を受けても数週間に渡って症状が続きます。

猫の下痢で考えられる原因は?

猫の下痢の原因はいくつかのパターンが考えられます。愛猫に適切な処置を施すために、主に考えられる下痢の要因を挙げてみましょう。

感染が原因の場合

まず考えられるのは、ウイルスなどによる微生物の感染が原因で下痢を発症しているケースです。

「感染性」は大きく分けてウイルス性、細菌性、寄生虫性の3つに分類されます。

ウイルス性感染症

ワクチン未接種の猫や、外飼いの猫は、ウイルス性の感染症が原因で下痢を起こす場合があります。

ウイルス性感染症の代表的な例としては、パルボウイルスが原因の「猫汎白血球減少症」と、猫コロナウイルスが原因で発症する「猫伝染性腹膜炎」があります。「猫汎白血球減少症」は3種混合ワクチンを接種することで予防が可能です。「猫伝染性腹膜炎」に効果的なワクチンはありませんが、完全室内飼いにすることである程度は防げます。

細菌性の感染症

細菌を原因とする感染症の代表例としては、「カンピロバクター感染症」が挙げられます。

成猫であれば、カンピロバクター属菌がお腹の中にいても特に影響がない場合が多いものの、まだ免疫力が低い子猫や、体調が悪くなって免疫力が落ちている猫は、下痢や嘔吐を引き起こすケースがあります。

寄生虫による感染症

コクシジウムや線虫などの寄生虫が原因で、下痢を起こす場合もあります。特に、元野良猫や外出する猫は寄生虫に感染している可能性があります。目立った症状がなくとも、一度は病院で検査を受けてみるのをおすすめします。

食事が原因の場合

食事が原因で下痢を起こすケースにも、大きく分けて2種類があります。

消化吸収の不良

消化管の働きが悪い時に起こりやすく、原因として考えられるのは食べ過ぎや、フードの種類を変えた場合などに見られることが多いようです。ご飯の種類を変えたあとであまり下痢が続くようであれば、元のフードに戻してあげることで改善する場合もあるようですので、そちらも合わせて検討してみてください。

食物アレルギー

アレルギーを引き起こす原因として、肉・魚・卵・乳製品などのタンパク質が豊富に含まれているもの、小麦・大豆・とうもろこしなどの穀物類が挙げられます。猫によってアレルゲン物質は異なるため、病院の検査で原因を特定します。原因が解れば、アレルゲン物質が含まれていないフードを与えることになります。

異物が原因の下痢

猫にとっての中毒物質や、異物を誤飲することで起こる下痢もあります。

殺虫剤や薬物は猫に危険であると認識されていると思いますが、それ以外にも私たちの身近にある食材の玉ねぎやチョコレート、ユリやシクラメン、一部の観葉植物などは猫が誤って食べると中毒症状から下痢になってしまうケースがあります。

誤飲する物としては、小さなオモチャ、ビニール、ヒモなどが挙げられ、飲み込んだ物の材質や形状によっては、下痢や嘔吐だけでなく、命の危険に関わる場合もあります。これらは、猫の届かない場所に保管する、出しっぱなしにしない等を徹底してください。

また、闘病中の猫に処方されている薬を与えたところ、下痢を起こしてしまったということもあります。下痢を起こすということは薬が身体にあっていない可能性があるので、様子見はせずにすぐに獣医師に相談をしてください

病気が原因の下痢

内臓疾患が原因で下痢が起こる事があります。こういった場合には、膵臓や肝臓、消化器、内分泌などに病気が潜んでいる可能性が考えられます。

他にも、腸管に悪性腫瘍が生じていることにより、慢性的な下痢を引き起こしている場合があります。

ストレスが原因の下痢

ストレスが原因で下痢を起こす場合もあり、代表的な要因として考えられるのは、生活環境の変化や、長時間の移動、同居動物との不仲などが挙げられます。また、飼い主が構いすぎたり、逆にあまり遊んでもらえなかったりすることで、猫がストレスを感じる場合もあります。

ストレスの感じ方は猫によって異なるので一概にはいえませんが、引越し、部屋の模様替え、家族の増減、来客が頻繁にある、同居動物が増えるなどはストレス要因になります。環境の改善または環境に慣れることでおさまる場合がほとんどですが、改善しない場合は、ストレス以外の原因の可能性もあるので、獣医師に相談をしてください。

愛猫が下痢になったら、どんな対策をしてあげたらいい?

ここまでに下痢の様々な要因をご紹介いたしましたが、まず飼い主として真っ先にしてあげる対処・対策とはどういったものなのでしょうか。ここからは具体的な対応についてご説明いたします。

猫と便の種類や様子をよく観察

愛猫が下痢を起こしている場合には、まずは猫の様子と便の状態をチェックしましょう。

元気はあるか、食欲はあるか、食べすぎていないか、もしくは食欲がないのであればいつもの何割食べたか、下痢以外の症状はないかを詳細にチェックします。

便の状態については、色や形、排泄の回数と柔らかさ、便と一緒に血液や粘液などが出ていないか、いつから下痢しているのかもチェックしましょう。できれば便は捨てずに、病院に持っていくか、スマートフォンなどで撮影しておくと、獣医師の診断材料にもなります。

病院に連れて行くべき症状とは?

いつもより少し便が緩い程度で、猫が元気であれば、そのままご自宅で様子を見ていただいて問題ない場合が多いですが、できれば獣医師の判断を仰ぐようにしてください。ただし、以下のような症状が出ているのであれば、一刻も早く受診してください。

・元気がない、ぐったりと横になっている

・食欲がなく、水も飲まない

・下痢が続いている

・下痢以外の症状(嘔吐など)がみられる

また、子猫やシニア猫の場合は、軽い下痢だとしても急激に悪化してしまう可能性もあるため、受診する方が無難です。

ご飯の量、頻度、種類を変えてみる

人間が下痢をした場合、消化の良い食事をとるように、猫に対しても消化の良い餌を与えるようにしましょう。

いつものフードでも、少しふやかすことで消化率があがります。食欲がないようでしたら、鶏肉のゆで汁を与えるのも良いかも知れません。下痢はしているけれど、いつも通りご飯を食べたがる場合には、いつもの量より少し減らして与えましょう。

また、消化器サポートの療養食に変更するという方法もあります。療養食に変更する場合には、必ず獣医師に相談の上、おこなってください。

人間用の下痢止め薬は、絶対に与えない

愛猫が下痢を起こした際に一番してはいけないのは、人間用の下痢止め薬を与えることです。

これは下痢止めに限りませんが、人間用の薬は人間の体重に合わせて調合してありますので、猫には過剰投与になり、かえって毒になります。人間と猫では代謝も異なります。中毒症状などを起こして体調が悪化する恐れもあるので、人間の薬品を与えることだけは、絶対に避けてください。

まとめ

猫が下痢を起こす理由は様々ですが、共通して言えるのは、下痢は猫の体に大きな負担を与えるということです。内臓疾患など、未然の対策では防ぐのが難しいケースもありますが、多くの場合は、事前に飼い主が対策を心がけることで愛猫を守ることが可能です。

例えば、引っ越しや家族が増えるなど環境が変化する際には、猫がストレスを感じにくいように環境を整える、新しい猫を迎える際にも部屋を分ける、いつも以上にスキンシップを心掛けるなど、愛猫のメンタルケアをすることでストレスの軽減に繋がるでしょう。

食事に関しても安さだけではフードを選ばずに、愛猫の年齢や体調に適したフードを選ぶようにしましょう。

猫は人間と違い、自分でストレスの原因や体調不良の要因の意思表示が出来ません。愛猫に健やかでいてもらうためにも、日頃のケアや有事の際の対応を常に心がけて、末永く健康で暮らせるようにしてあげましょう。

執筆者
フリーライター。 猫と日本史とアンティーク着物が好きなサブカルチャー趣味。 幅広い分野でコラム/エッセイ/シナリオ/脚本等の執筆を行う。 twitter:@uminoriyo note:https://note.com/umino453145