猫の緑内障について、初期症状から治療法、手術費用まで徹底解説

猫の健康 瞳孔の大きさが左右で違う!これって緑内障なの?猫の緑内障、原因は?治療はできる?

執筆/佐藤 華

さまざまな要因によって眼圧が上昇し、視神経に支障をきたす緑内障。最悪の場合、失明を招く恐れだけでなく、視力を失ったあとも目の痛みが続くことがあります。その場合は眼球摘出を選択せざるを得なくなり、猫の視覚だけでなく見た目や生活の質まで変えてしまいます。いざという時に困らないよう、正しい知識をつけておきましょう。今回は、猫の緑内障について紹介します。具体的な症状や治療法についても解説にするので、愛猫家の方は参考にしてみてください。

猫の「緑内障」とは

眼球の中には房水(眼房水)と呼ばれる液体があり、通常はバランスよく産出と排水されていますが、さまざまな要因により排水されづらくなり、房水の量が増えて眼球内に貯まることで眼圧が上昇してしまいます。そうすると視神経や網膜に影響を及ぼし、緑内障の症状が現れます。症状によっては短期間で失明する恐れもあるので、早期発見が鍵となります。

白内障との違いは?

房水の排出がうまくいかず、眼圧が上がって視神経に支障をきたすのが緑内障ですが、白内障は、瞳孔の奥にある水晶体が白く濁ることで、物が見えづらくなる病気です。水晶体が濁ると光が正常に届かなくなり、視界がかすんだり、光を眩しく感じるなどの症状があり、目全体が白濁することで失明につながる恐れもあります。緑内障と同じように、視界が悪くなることで壁や家具などにぶつかりやすくなったり、普段つまずかないような場所で転んだりすることがあります。ほかの眼病が発症のきっかけとなる緑内障とは違い、白内障の発症原因は外傷によるものがほとんどですが、遺伝による先天性のものもあります。後天性の場合は、猫同士のケンカや事故によって引き起こされることが多といわれています。

猫の「緑内障」なぜなるの?

緑内障に罹患する際、もっとも多いのは、他の眼病によって引き起こされる「続発性緑内障」です。緑内障の原因になる疾患は以下のようなものがあります。

  • ブドウ膜炎
  • 白内障
  • 眼内出血
  • 眼内腫瘍(悪性黒色腫・リンパ腫など)
  • 水晶体脱臼
  • 高血圧症

特にブドウ膜炎によって起こることが多いとされています。

これらの疾患は、眼球内部にある房水の流れを滞らせ、貯水と排水のバランスを悪くさせます。その結果眼圧上昇の原因となり、緑内障へとつながる恐れがあります。また、まれですが、遺伝的要因による「先天性緑内障」や、原因となる眼病がないのに起こる「原発性緑内障」もあります

猫が「緑内障」になったときの症状は?

猫が緑内障になった場合、初期症状と進行してからの症状は少し違います。視神経の病気なので、進行してしまうと視力低下や失明へつながる恐れもあり、できる限り初期症状の段階で気づいてあげた方が良いでしょう。

初期症状について

緑内障は眼圧が上がるため、目に違和感や痛みを伴うことがあります。主に下記のような症状が出ます。

  • 瞬きの回数が増える
  • 目をこする
  • まぶたがけいれんする
  • 白目が赤く充血している
  • 角膜浮腫により目の表面が濁ったように見える

まれに吐き気を伴うこともあります。どれも分かりやすい症状ではありますが、ほかの眼病症状と似ているので判断が難しいかもしれません。

同じような症状が出る眼病としては、ケンカによる引っかき傷などが原因となる角膜穿孔や、目の結膜に炎症を起こす結膜炎などがあげられます。他の眼病との大きな違いは、

  • 痛みがひどく、顔を触られるのを嫌がる、暴れる、怒る、食欲不振
  • 片方または両方の瞳孔がいつも大きい、左右の瞳孔の大きさが異なる

これらの症状が見られたら、緑内障を疑ってください。

進行した場合

前述したとおり、緑内障は眼圧があがり視神経を圧迫する病気です。眼圧があがったままの状態だと、眼球が大きくなる「牛眼(ぎゅうがん)」という症状がでます。他にも、水晶体の脱臼、白内障を引き起こすこともあります。

緑内障が進行してしまうと、視力低下が起こり、最悪の場合は失明してしまう可能性もあります。一度視力を失うと回復は望めません。

猫の「緑内障」の治療方法

緑内障の治療で先ず行うのは、眼圧を適切な範囲まで下げることです。眼圧を下げるためには点眼薬を使う事が多いのですが、場合によっては外科手術を行うこともあります。

点眼薬での治療

人間と同じように、緑内障の治療として点眼薬を用いることがあります。点眼薬の頻度は目の状態にあわせ、集中的に行う、緩和ケアを第一に行うなど様々です。

  • 視力が残っている場合 … 速やかに眼圧を下げなくてはならないため、頻回点眼を行う事があります。頻回点眼では10分~30分毎に点眼を行なわなくてはならず、また眼圧のモニタリングの必要性から、入院して処置をすることもあります。
  • 視力が失われている場合 … 視力を元に戻すことは出来ませんが、眼圧を下げる点眼薬で痛みを抑える緩和ケアを行います。

点眼薬は眼房水の流出を促すもの、酸性量を抑えるもの、抗炎症成分の入っているもの、角膜保護剤が入っているものなど複数種類があります。これらの組み合わせで治療を行いますが、3種類以上の点眼薬を処方される場合もあります。

また、眼圧が正常値まで下がったとしても、毎日の点眼は続ける必要があります

目薬をさすコツは?

点眼を行う際、真正面から点眼しようとすると、猫は怖がります。そのため、後ろ側から顎をやさしく支え、点眼薬を持った方の指で瞼を開き、点眼を行うようにしましょう。膝にのせて行う場合、太ももで猫の体を支えて安定させる方法もあります。人間が点眼する時と同じように、目薬の先端が目に触れたり入ったりすると危険なので、眼球から程よい距離感を保ちながら行うと良いです。終わった後は目を閉じさせ、溢れ出た目薬をティッシュやガーゼでやさしく拭き取ります。緑内障以外の眼病でも点眼をする機会はあるので、なるべく慣れさせておくことが大事です。

終わった後に好きなおやつをあげたり、優しく声をかけて誉めてあげましょう。

外科的治療

視力は残っており点眼薬だけでは眼圧が下がらない場合、レーザーを用いた眼内手術をすすめられることもあります。外科的治療では房水の排出がスムーズになり、眼圧を下げる効果が期待できます。しかし人間と異なり動物の眼科手術は専門性が高いため、対応できる病院は限られてしまいます。外科治療を選択した場合には、かかりつけ医に相談し、専門的な病院を紹介してもらいましょう。場合によっては術後も点眼が必要なこともあるので、根気よく治療を続けていくことが大事です。

また、完全に失明してしまったが痛みが残っている場合、眼球摘出手術をするという選択肢もあります。見た目の変化こそありますが、痛みからは解放されます。

猫の「緑内障」は完治する病気?

数日や数週間の間で急に眼圧が上昇した場合、緊急措置を施せば視力を回復することも期待できますが、緑内障を完治させることは難しく、点眼による眼圧の抑制や、進行を遅らせるのが現実的でしょう。

また、既に失明している場合、視力を戻すことは難しいですが、緑内障による痛みの緩和を目的とした治療を続けることはできます。あまりにも痛みが強く、猫が苦しんでいる場合には、眼球摘出という手段もあります。視覚は戻りませんが、痛みがなくなり以前のような元気を取り戻す子もいるので、猫の症状に合わせて治療法を選ぶと良いでしょう。眼球摘出をした場合には、点眼薬でのケアが不要になります。

愛猫を「緑内障」から守りたい!予防法はある?

残念ながら緑内障の予防方法はありません。ただし、前述したとおり、猫の緑内障は他の眼病が原因となり引き起こされることも多いため、それらの病気や疾患の早期発見・早期治療が緑内障の発症を防ぐ一因になります。目を痛がる、目が赤い、目の表面が濁っているなどの症状が見られたら、直ぐに動物病院を受診しましょう。

また、緑内障の原因になる眼病には、寄生虫感染やウイルス感染によるものが多いため、猫を屋外に出すことはせず、完全室内飼育とワクチン接種を徹底することも予防のひとつになりえます。他にも、緑内障は早期発見が出来れば原因の除去や視力の保護が望めるため、定期的な健康診断を受けることもおススメします。

 

まとめ

人間にも身近な緑内障は、徐々に進行していき、気づいた時には手遅れというケースも少なくありません。特に言葉の話せない猫の場合は、初期の段階で飼い主が気づき、適切な治療を施すことが大事です。猫の緑内障は、ほかの眼病によって引き起こされる「続発性緑内障」であることが多いので、ブドウ膜炎などの眼病に罹った際は注意するようにしましょう。また、目を痛がったり白目が赤くなるなどの症状が見られた場合には、自己判断せず動物病院で診てもらうことが大事です。

執筆者
会社員を経て、念願叶いライターとしてデビューしました。 猫4匹、犬1匹、人間ふたりの大家族なので、笑いと事件が絶えない毎日です。 読者の皆さまのお役に立てるような記事を執筆出来るよう、日々精進してまいります!