猫のお留守番、トイレや餌、冬や夏の注意点は?

猫との暮らし 猫はお留守番ができる?猫のお留守番、こんなことに気を付けて!

執筆/かじめい

愛猫を家に残したまま外出しなければならない場面は、どんな飼い主さんにも訪れることと思います。愛猫に快適に留守番してもらうため、私達はどのような事柄に気を付けてあげればよいのでしょうか。

猫に留守番をさせてもよい?

そもそも、猫を家に置いたまま外出しても大丈夫なのでしょうか。「猫の留守番は、何歳以上から可能である」など決まりごとはあるのでしょうか。

猫は留守番に向いている?

「猫は家につく」といわれているくらい、飼い猫たちは住み慣れた我が家が大好きです。そして、周りの環境が変化することを何よりもストレスに感じてしまいます。そのため、慣れない場所へあちこち連れて行かれるよりも、家でひとりで留守番のほうが、猫にとってはよっぽど幸せなのです。

猫は留守番で寂しい思いをしない?

猫は元々、群れをなさずに単独で生活する動物です。自分のなわばりの中でマイペースに過ごすことを好みます。環境さえ整えてあげていれば、猫たちは拍子抜けするくらい普段どおりにぬくぬくと過ごしているものです。寂しいだろうからとテレビや音楽をつけっぱなしにして外出するようなことは、聴覚が敏感な猫には逆にストレスになる場合もあるので注意が必要です。

案外自分がいなくても平気なんだなぁと、どちらかといえば飼い主さんの方が寂しい思いをしてしまうかもしれませんね。

こんなタイプの猫はお留守番には不向き

まず、生後半年未満の子猫や11歳以上の老猫は、ひとりで留守番をさせることは難しいといわれています。身体が未熟な子猫は健康状態が非常に不安定なため、例え日帰りであっても長時間の留守番は危険です。老猫の場合も、体調にいつどのような変化が起きてもおかしくないため、ひとりぼっちでの留守番は避けてあげてください。やむを得ない事情でどうしても外出しなければならない場合は、かかりつけの動物病院などで愛猫を預かってもらえないか相談してみるとよいでしょう。

また、子猫の頃から飼い主さんと四六時中一緒にいるなど、ひとりで過ごす経験が極端に少ない猫は、急に留守番をさせてしまうと分離不安症を起こす恐れがあります。分離不安症になると、いつも一緒にいる飼い主さんの姿が見えなくなることで強い不安やストレスを感じ、鳴き続ける、トイレの粗相をする、食欲不振などの問題行動を引き起こしてしまいます。

まずは短い時間からトレーニングを!

家に来て間もない子や分離不安が見られる子には、飼い主さんと離れる時間を少しずつ作りながら、愛猫のペースに合わせて、ひとりで過ごすことにゆっくりと慣れていってもらいましょう。

まずは短時間ケージに入ってもらったり、あえて愛猫とは別の部屋で過ごしてみるなど、同じ家にいながら距離をとることから始めます。数時間程度離れても問題行動をおこすことなく、ひとりでいることに慣れた様子が見られたら、まずは短時間の外出からチャレンジしてみましょう。

外出する前には、ぜひ以下の「猫に留守番させるときの注意点」を一読して、留守番に最適な環境を整えてあげてくださいね。

猫の留守番、こんなトラブルも!?

猫という動物は飼い主さんの目が離れた途端、普段はみせないような非常に大胆な行動をとることがあります。そして時にはそれが愛猫の怪我や病気、脱走など、思わぬ事故に繋がってしまうことがあるのです。

大事なものを壊されていた

写真立てや植木鉢、ガラスや陶器でできた置物など、大事なものを壊されて悲しい思いをしたことがある愛猫家さんも少なくはないのではないでしょうか。

私の知人宅の猫で、飼い主の留守中に壁掛けの絵画や時計に次々に飛び乗って破壊してまわったという伝説を持つ子がいます。

愛猫の怪我や飼い主さんの心的ダメージを回避するためにも、家を空ける前に今一度インテリアの見直しをすることをお勧めします。

トイレの粗相

留守中のトラブルで最も多いといわれているのが、トイレの粗相です。分離不安症の猫に多く見られる問題行動ですが、フードがない、トイレが汚い、遊んでくれる人がいない、などのストレスや欲求不満により、指定の場所以外で排泄をしてしまうことがあります。

盗み食い

猫は、私達が思っている以上に賢く器用な動物です。人間の行動を見て学習し、冷蔵庫や戸棚を自分で開けて、中の食べ物を食べてしまうことがあります。中には、留守番をさせてみて初めて、愛猫が戸の開閉ができることが判明することも…!

脱走

扉や窓をしっかり施錠したつもりでも、賢い猫の中には器用にロックまで外して脱走をはかる子もいます。飼い主さんが帰宅時に開けた玄関のドアから脱走してしまうというケースも実はよくあるので、気を付けてあげてください。

誤飲

身の回りの、猫がいかにも誤飲してしまいそうな小物類を排除しておくことはもちろんですが、実は市販の猫用玩具も注意が必要で、部品が取れて誤飲してしまうケースも少なくないようです。飼い主さんと遊ぶ時以外は、愛猫の届かないところに保管しておくことをお勧めします。(我が家の愛猫も、猫じゃらしの先端を噛みちぎって誤飲しそうになり、慌てて口から引っ張り出した経験があります。)

また、花や植物を飾っているご家庭では特に注意が必要です。ユリ科の植物が猫にとって猛毒なことは有名ですが、ポトスやモンステラ、幸福の木など人気の観葉植物も有害となるものが多く、少量口にしただけで最悪の場合死に至ることがあります。愛猫の生活圏内には基本的に植物を置かないようにすることが好ましいでしょう。

猫に留守番させるときの注意点

愛猫が快適に留守番できるか否かは、飼い主さんの事前準備にかかっています。注意すべき事柄は、不在にする日数や季節によっても異なってきますので、以下の点を確認し、環境作りの参考になさってください。

ところで、どれだけ完璧に環境を整えてあげられたとしても、留守中の愛猫の様子が気になって仕方がない飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方には、ペットカメラの設置をお勧めします。スマートフォンなどの端末からいつでも愛猫や室内の様子が確認できるので、非常に便利です。万が一何か問題がみられた場合でも、素早く対応してあげることができます。

飲水の用意をする

謝ってこぼしてしまう恐れもありますので、複数の器に多めに用意しておきましょう。自動給水器の利用もお勧めです。

余談になりますが、私が昔飼っていた猫は水遊びが大好きで、しょっちゅう水の器をひっくり返していたので、普段から防水マットをひくなど床の水濡れ対策が欠かせませんでした。

ごはんの用意をする

飲水と同様に、複数の器に十分な量の食べ慣れたドライフードを用意します。ウエットフードは痛みやすいため、使用は避けるようにしてください。自動給餌器の利用もお勧めです。

トイレはどうすればよい?

飼い主さんが留守の間に、一日に最低一回トイレ掃除をしてくれる人がいらっしゃれば、いつもどおりのトイレできっと問題はないでしょう。

二日以上家を空けなければならないけれど掃除を頼める人がいないという場合は、不在日数分以上の個数のトイレを準備してあげることをお勧めします。(二泊三日留守にするならば、最低でも三つのトイレを設置する、という具合です。)ただし、必ず事前に新しいトイレを愛猫に使ってもらい、留守にする数日前から慣れさせておく必要があります。

室内の温度・湿度

真夏や真冬は惜しみなくエアコンを使用し、普段と同じく快適な室温を保ってあげるようにしましょう。特に夏場の熱中症は命取りですので注意が必要です。また、エアコンのリモコンは必ず愛猫の手の届かないところに隠しておくようにしてください。留守中に愛猫がリモコンを踏んでしまい、猛暑日なのにクーラーが止まってしまっていた…というような恐ろしい事態は絶対に避けたいものです。

ちなみに、部屋の電気は消したままで問題ありません。夜行性の猫は暗闇でも視界良好で、何不自由なく生活することができるからです。

不安定な家具の確認

飼い主さんがいない間に、愛猫が思わぬところに飛び乗って家具を倒してしまったり、地震が来る可能性も考えられます。事前にストッパーなどでしっかりと固定をしておきましょう。

誤飲・誤食しそうなものが置いていないか

細かい物やゴミが、床に落ちていたり愛猫の手の届くところに置きっぱなしになっていませんか?棚の下なども今一度確認しましょう。電子機器のコードも齧って感電する危険があるので、プラグから外して束ねて隠しておくなど工夫が必要です。紐や画鋲、輪ゴム、ビニール袋など、身近にあるようなものが猫にとっては命取りになってしまうことがあります。少しでも危険だと思われる物は、愛猫の生活圏内から徹底的に排除してください。

脱走防止は万全に

前述したとおり、ドアの開閉のみならずロックまで外してしまう猫もいますので、念には念を入れて、脱走防止柵やストッパーの設置をすることもお勧めです。

長期間の留守番になるなら…

どれだけ留守番に最適な環境を整えたとしても、フードやトイレの管理、そして愛猫の安全面・衛生面を考えると、飼い主さんが家を空けるのは三日が限度といえるでしょう。長期間の留守番になる場合は、信頼できる知人または外部サービスに愛猫の身の回りのお世話をお願いする必要があります。

友人・知人に頼む

猫が好きだったり、飼育経験があってお世話に慣れている知人が身近にいるのであれば、お世話をお願いしてみるとよいでしょう。フードやトイレの管理のほか、愛猫の体調や部屋を荒らしていないかなど、異常はないか様子を見てもらえると安心です。可能であれば一日に一度は家に訪れてもらいましょう。無事に帰宅したら、お土産などできちんとお礼をすることも忘れずにいたいものですね。

キャットシッターに頼む

身近にお世話を頼める人がいないけれど、愛猫には住み慣れた我が家で快適にお留守番しておいてもらいたい!そんな飼い主さんにはキャットシッターサービスがお勧めです。

専門のスタッフが自宅に訪問し、フードやトイレの管理はもちろん、愛猫の遊び相手をしてくれたり、動画や写真で飼い主さんに様子を報告してくれるところもあるようです。利用料金はお住まいの地域やサービス施設ごとに異なりますので、気になる方は事前にリサーチしておいてはいかがでしょうか。

動物病院に頼む

健康な猫ちゃんも、動物病院に宿泊することができるのはご存知でしょうか?獣医師さんなどプロのスタッフが常駐していますので、心配性な飼い主さんも安心ですね。ただし、病院の方針や状況よっては宿泊を受け入れていないところもありますので、必ず事前に問い合わせて確認しておくようにしましょう。

なお、宿泊と同時に健康診断をお願いできるところもあります。実際に私が子どもの頃、二泊三日ほどの家族旅行に行く際には、両親が当時飼っていた猫を動物病院に預けて健診を受けさせていました。普段は敬遠しがちな大がかりな検査をこの機会に済ませてあげることも、個人的にはお勧めです。

ペットホテルに頼む

名前のとおりペット専用のホテルで、愛猫がより快適に過ごせるような様々なサービスを受けることができます。例えば、愛猫が過ごすケージのサイズが選べたり、施設によってはお部屋でのびのびと自由に過ごすことのできるプランがあったりと、この他にも預ける条件を飼い主さんが事細かに選ぶことができるのです。

数時間単位での時間預かりも受け付けてくれるところもあるようなので、まずはショートステイから試して愛猫の様子をみてあげるのも良いでしょう。年末年始や大型連休などは混みやすい傾向にありますので、早めに予約しておくことをお勧めします。

ここで、大切な愛猫を預ける場所を選ぶ際に、最低限注意していただきたい点を三つ挙げさせてください。

まず、預けたい施設へ事前に訪問し、飼い主さん自身の目で確認することは必須といえます。ネットで調べればクチコミが出てくることもありますが、サクラの書き込みも疑われるため、あまり鵜呑みにしない方がよさそうです。清潔が保たれているかどうかはもちろんですが、万が一体調を崩した場合の対応はどうするのか、愛猫が普段愛用しているフードやトイレ砂、ベッドなどの持ち込みが可能かどうかなど、気になることは何でもしっかり確認しておきましょう。

次に、「動物取扱業の登録証」があるか必ず確認するようにしてください。これが無いということは、スタッフは必要な講習を受けていない可能性が高いため、ずさんな管理をしていることが疑われますし、そもそも登録をせずに営業することは法律違反なのです。目立ったところに登録証の掲示がない場合でも、遠慮なく尋ねるようにしましょう。

最後に、年に一度のワクチン接種を済ませておきましょう。ワクチンを接種すること自体は任意ではありますが、多種多様な動物達が集まる施設に預ける場合、愛猫はもちろん、周りのペットの健康を守るためにも接種の有無は重要視されるのです。ワクチン接種をしていないと宿泊を許可しないところも多いので、いざ預けるという場面で慌ててしまうことがないよう計画的に済ませておくようにしましょう。

まとめ

飼い主さんの急な出張や病気や怪我での入院、冠婚葬祭など、やむを得ず家を空けなければならない事態は突然訪れるものです。信頼のできる知人や専門家にいつでもお願いができるよう、万全な体制を整えておきましょう。

執筆者
二人の愛娘と一匹の暴れん坊ニャンコに日々振り回されているワーキングマザーです。 とにかく猫が好きで、愛猫家歴20年以上になります。 小学生の頃、実家の庭に迷い込んだ野良の子猫との出会いから始まり、一人暮らしの時、そして結婚し現在にいたるまで、計6匹の個性豊かな猫達と生活を共にしてきました。  私と愛猫の体験談なども踏まえながら、読んでくださったあなたにホッとしてもらえたりクスッと笑ってもらえたり…とにかく身近に感じていただけるような記事をお届けできますよう、日々勉強しております!