神秘的な白猫さん、かっこいい黒猫さん、野性的なキジトラさん、見下す視線が堪らない三毛猫さん、人懐っこい茶トラさん。皆違って皆良い。そんな猫の沼にはまってしまったら、とことん知識を深めてみませんか?個性豊かな猫の模様と色によって性格が異なると言われています。もっともっと猫と仲良くなるために、猫のルーツを辿りましょう!
猫の模様と柄、何種類あるの?
基本ベースは黒・白・グレー・茶トラ・キジトラ・サバトラ・三毛・サビの8種類に、全身模様・白混ざり・トビ柄・薄模様に分岐することで24種類あります。内訳は黒・白・グレー・茶トラ・キジトラ・サバトラ・サビ・白黒・グレー白・茶白・キジ白・サバ白・三毛・白黒トビ・グレートビ・茶白トビ・トビキジ・サバ白トビ・トビ三毛・クリーム・グレートラ(キジトラ薄模様)・グレートラ(サバトラ薄模様)・パステル三毛・グレーサビの計24種です。ただし、これはあくまで大枠なので、完全に当てはまらない柄も存在しており、100種以上の柄が存在しているとも言われています。
猫の模様と性格を徹底解説!
猫の柄と性格について、真剣に科学的検証も行われていますが、現段階で確実な実証はありません。猫と生活する中で「大体こういう傾向がある」程度です。
目安として猫の祖先であるリビアヤマネコと同じ、キジトラ柄に近いほど警戒心が強い説もありますが、キジトラ柄でも、おっとりのんびりしていて兄弟におもちゃを取られても怒らない子もいます。模様だけでなく育った環境にもよるので、全てがこの通りとは言い切れませんが、一つの目安として楽しんで下さい!
【単色(ソリッド)】
ミステリアスな黒猫、神秘的な白猫、ブルーにも見えるグレーの毛並み。単色の猫にはどこか気品が漂います。
・黒(ブラック)
闇に溶けるような美しい黒。その姿は黒単色だけでなく、白い斑点(エンジェルマーク)がある場合もありますが、一見して黒ければ黒猫と分類されます。目の色はグリーン・ヘイゼル・カッパー・アンバー、まれにブルーになることも。肉球の色は基本的に濃い茶色や黒ですが、まれにピンクの子もいます。
迷信によって不吉な象徴と考えられていたこともありましたが、性格は穏やかで甘えん坊、フレンドリーな子が多いです。特にメスよりオスの方が甘えん坊で、頭が良く空気を読んで行動します。筆者の友人宅にいた黒猫くんは、遊びに行くと階段からドスドスドス!と降りてきて初対面から大歓迎してくれました。
・白(ホワイト)
あらゆる国で、白い動物は神様の使いであると言われてきました。白猫も例外ではなく、見ただけで幸運が訪れると言われている国もあります。その神秘性を高めるように、白猫は警戒心が強く、繊細で臆病な子が多いです。肉球や鼻の色が必ずピンクになり、目の色はブルー・グリーンなど淡い色合いが多いです。目の色が左右で違うオッドアイは白猫に多く見られます。ブルーの目を持つ白猫は聴覚障害を持っている場合が多く、メラニン色素の少ない肌は紫外線に対して弱いため最悪の場合、皮膚ガンを発症してしまうこともあります。
見た目のままに神秘的で儚げな白猫には、のんびりとリラックスできる環境を整え、窓のUV対策も万全に整えてあげましょう。
・グレー
グレーの被毛は毛色の濃淡や陰影が美しく、ビロードのように上品な光沢があります。元々、日本にはいなかったカラーのため、他国との貿易が始まって交流が盛んになってから生まれるようになった色です。グレーの毛色を持つ純血種はロシアンブルー・コラット・シャルトリューの3種類だけで、それぞれ個性豊かな性格をしています。
- ロシアンブルー
ロシアの生まれで、犬のように忠実だが気まぐれでプライドが高いところがあり、心を許す人が限られています。サイレントキャットと呼ばれるほど、あまり鳴かない猫種です。
- コラット
タイの生まれでプライドが高くて神経質、頑固だが人懐こく社交的。かまって貰えないと拗ねてしまいますが、お気に入りの人には特に懐きます。
- シャルトリュー
フランスの生まれで犬のように従順、穏やかで落ち着いており、人懐こいですが甘え過ぎることはなく、静かに側にいてくれる性格です。
グレーの色が入った猫と暮らす方は、どの猫種に似ているか比べてみるのも楽しいですね!
・その他
- チョコレート
真っ黒ではない黒猫。その名の通り、チョコレートのような焦げ茶色に見えます
- ライラック
チョコレートの淡いカラーです。ラベンダーと呼ばれることもあります
- レッド(茶色っぽい赤)
レッドは一見単色のようでも、常に縞模様を伴っています。つまり茶トラのことです
- クリーム
レッドの中でも強い赤っぽい色合いが出ず、淡い色合いのこと
- アプリコット
クリームが更に淡くなった色です
- アンバー
レッド系の中でもノルウェージャンフォレストキャットにだけ見られる、特殊な色です
- ラセット
同じく、レッド系の中でもバーミーズにだけ見られる、赤茶色の毛色です
- シナモン
その名の通り、シナモンスティックそっくりの色です
- フォーン
シナモンカラーの淡いカラーです
など、珍しい毛色もあります。
【縞模様(タビー)】
美しい縞模様が特徴で、額にMのマークが多く見られます。このマークは猫の祖先であるリビアヤマネコから受け継がれたもの。より野生に近い本能を残している柄です。
・キジトラ(ブラウンタビー)
茶色ベースに黒い縞模様柄で、日本で一番多い模様です。猫の祖先であるリビアヤマネコの柄であり、元々はこの柄しか存在していませんでした。最も野生に近い性質を残していて、活発に動き回るのが大好きです。そのため、抱っこは苦手な傾向があります。1度心を許せばべったり甘えん坊になりますが、構い過ぎないことも一緒に暮らす上で大切な心構えです。野生での生活を思い出させる狩りを見立てた遊びをたくさんしてあげると喜ぶでしょう。
・サバトラ(シルバータビー)
灰色ベースに黒い縞模様で、鯖に似ていることからサバトラと呼ばれています。元々、日本にはグレーの毛色が存在していなかったのですが、1950年代からの高度成長期に海外から入ってきた品種とキジトラなど日本在来種との交配によって生まれたと考えられています。性格は、おっとりしていて人見知りしない、やや怖がりで慎重・警戒心が強い、と両極端。基本的にはキジトラから受け継いだ野性的な性格なのですが、人と共に生きるための戦略として人懐こくなっていった子もいるようです。筆者と一緒に暮らしている子はおそらくサバトラのパステルなのですが、獣医さんにまでハグする人好きな子です。しかし大きな音にビックリしやすく、慎重な性格をしているので、ストレスをためないように確認したいものは気が済むまで匂いを嗅いで貰ったり、乗ってみたい場所が安全だと確認できるように抱っこして見せてあげたりしています。
・茶トラ(レッドタビー)
薄いオレンジがかったベースに赤褐色の縞模様で、海外では「ジンジャーキャット」とも呼ばれています。全体の8割がオスで、臆病だが強がる少年気質、べったり甘えん坊な子が多く、温厚な平和主義のため争いは避けて通る傾向があります。また食欲旺盛で体の大きな子が多いので、食べ過ぎて肥満にならないよう注意が必要です。甘えん坊な分さみしがり屋なので留守番が長くならないよう、配慮しましょう。余計な争いを嫌うため猫同士の社会性も高く、多頭飼いに向いています。
・クラシックタビー(ブロッチッドタビー)
縞模様のある猫の中でも、全身にうねりのある太い縞模様が入り、渦巻き柄になることもあります。純血種のアメリカンショートヘアーに多く見られる美しい模様で、見た目のままにマーブルタビーとも呼ばれています。他、スコティッシュフォールドやマンチカン、ノルウェージャンフォレストキャットなどにも見られる模様です。性格は猫種によりますが、遊び好きで活発なことが多いです。稀にミックスの子に柄が表れることもあります。
・アグーティタビー(ティックドタビー)
毛の一本一本に細かい縞模様が入っている柄のことです。アビシニアン・ソマリ・シンガプーラなどに見られ、外見で縞模様とは分かりにくいですが、美しいグラデーションカラーに魅了される人も多いでしょう。縞柄猫に表れる額のMの字があり、アビシニアンの長毛であるソマリの方が、一本一本の毛がグラデーションしている様子が分かりやすいです。
・スポッテッドタビー
ヒョウ柄のことです。人の手によって品種改良されたもので、ベンガルヤマネコとの交配によって生まれました。ベンガルという品種が該当します。ベンガルは野生味のある見た目ですが、性格は人懐こく、エネルギッシュで好奇心旺盛です。遊ぶのが大好きなので、猫との時間をたくさん取って一緒に遊んであげると良いでしょう。
【二色(バイカラー)・三色(キャリコ)】
個性的な色の組み合わせ・柄でトータルコーディネート万全!自慢の毛並みは個性豊かで人を惹きつけてやみません。
・黒白/白黒(ブラック&ホワイト/ホワイト&ブラック)
白と黒、はっきりと模様が出ます。黒が多ければ黒白、白が多ければ白黒と呼ばれます。一部を白くする遺伝子が関わっており、足・お腹・胸・背中の順に白くなるため、お腹が黒くて背中が白い子はいません。配色具合によって性格も異なり、黒白は人懐こく温和でマイペース。白黒は大人しそうに見えるが強気で頑固な性格が多いです。
・キジ白(ブラウンタビー&ホワイト)
白ベースにキジトラ柄です。キジトラの顔の下部分マズル付近から、お腹や足先が白くなります。性格はキジトラに近く、警戒心は強め、打ち解ければ甘えん坊、抱っこは苦手で遊ぶのが好きと、活発な性格です。たくさん遊んであげて、運動できる場所を用意してあげると喜ばれるでしょう。
・サバ白(シルバータビー&ホワイト)
白ベースにサバトラ柄です。キジ白と同じく、顔の下、お腹や足先が白くなります。おっとりしていて人懐こいですが、警戒心は強く、慎重です。白い毛色が多いほど、プライドが高く賢い傾向があります。
・茶白(レッドタビー&ホワイト)
白ベースに茶トラ柄です。茶トラと同じく、オスが多いです。人懐こく甘えん坊で活発、他の猫とも上手くやれる社会性も高いため、多頭飼いに向いていると言われています。
・サビ(トーティシェル)
黒と茶がまだらになっている柄です。後述する三毛猫と同じく、ほとんどがメスで、オスが生まれることは滅多にありません。海外では大変珍しい柄のため珍重されており、べっ甲のように美しく個性豊かで唯一無二の柄を持つサビ猫の虜になってしまう人も多いようです。温和で引っ込み思案、知らない人を警戒しますが、愛嬌や協調性があり、大変賢い傾向にあります。更には体が丈夫で長生きしやすいと言われており、初めて猫と暮らす方にはうってつけです。母性が強く面倒見が良い反面、優しすぎてストレスをためやすいので、我慢し過ぎていないか気にかけてあげましょう。
・三毛(キャリコ)
黒・茶・白の三色柄です。古くから幸運の象徴とされ、招き猫のモデルになるほど縁起の良い柄と言われています。三毛猫のオスは3万分の1の確率で生まれると言われており、船に乗せれば遭難せず大漁になる守り神として尊重されていました。また海外では珍しい柄であり、「MIKE」と日本語読みのまま親しまれています。性格は、ほとんどがメスであるため、正にザ・お猫さまの女王気質。わがままで警戒心が強く、気分屋、器用で賢くプライドが高いと、超意識高い系女子です。同じくメスばかりのサビ猫と対象的なのは、幸運の象徴であるとチヤホヤされていた三毛猫と、「雑巾猫」などと不名誉な呼び方をされてしまうサビ猫、それぞれの生存戦略によるものでは無いかという説もあります。
【その他】
・ポインテッド(シールポイント/タビーポイント)
シールポイントとは、耳・鼻・足先・しっぽが焦げ茶色になる柄です。シャムやヒマラヤンなどの品種に見られる特徴的な柄で、温度が低い場所の色が濃くなる遺伝子によるものと言われています。同じ猫でも夏と冬では色が変わることもあります。
タビーポイントは、シールポイントのように温度の低い部分に濃く縞模様が表れます。どちらのポイント種も、マイペースで甘えん坊な子が多く、シャムは活発で運動神経抜群、エネルギッシュな性格です。家中を駆け回れるように足場を工夫して、たくさん遊んであげると喜んでくれるでしょう。
・トビ
白ベースに、耳先や頭、背中、しっぽなど部分的に柄があります。柄は少ないですが、ユニークな柄の付き方をしていることがあり、パッツン前髪のような柄が入ったりすることも。筆者の記憶に残る最も面白いトビ柄の子は、泣き出しそうな眉毛柄で「ごはん超美味しい!」のハイテンションでも常に申し訳無い顔に見えてしまう子でした。
・ハチワレ
額部分の色が左右に分かれて八の字模様になっている柄です。八は末広がりで縁起が良い模様とされ、珍重されていました。白黒のハチワレは生命力があり、心も体もタフな性格をしている子が多いです。一緒に暮らしたら、とても頼りになる相棒となるでしょう。
・靴下
まるで靴下をはいているように、足先だけが白い柄です。白い部分が少ない黒白猫は、タキシードと呼ばれることもあります。性格は、ベース模様に左右されます。
【こんなユニークな柄もある!】
前髪パッツンのトビ柄、七三分け、富士額、ちょびひげ、あごひげ、ほくろのようなトビ柄、ハート柄、天使の羽柄、牛そっくりの模様、世界一有名な某ネズミ氏柄、SNSで話題になった猫のシルエットのような柄を持つ子と、同じ柄の中でも個性は色々です。白猫にだけ表れる、大人になったら消えてしまうキトンキャップという幻の柄もあります。
知っていると得するかも?猫の模様についての豆知識
動物の毛色や柄にはそれぞれ、生き残るための意味があります。例えば、雷鳥という鳥は高山で生き残るために夏は褐色、冬は雪に擬態する白の羽毛に生え替わり、景色に溶け込んで身を守ります。猫の祖先であるリビアヤマネコも、薄暗闇の中で最も目立たない毛色を持っており、獲物に気づかれずに忍び寄ることができます。そんな生存本能によって生まれた美しい柄の数々は、猫それぞれの個性に結び付いているのです。
猫の模様と性格に関連性はある?
性格の形成には生活環境の影響も大きいのですが、例えば自然界で目立つ白猫は周囲の警戒を強めて何でも疑ってかからなければ生き残れません。幸運の象徴とちやほやされる三毛猫とは対象的に人気の無いサビ猫は、長く母親の元に残ることで社交性を身につけ、母親から知識を学ぶことで賢くなった、とも言われています。少なくとも、模様によっては生き残る為にどうしても必要な性質のため、基本性格には関連性があると言えるでしょう。その後の生活環境にもよるので、警戒心が強いと言われている白猫も、環境によってはフレンドリーな黒猫のように成長することもあるでしょう。
模様が決まるパターンってあるの?
父親が黒猫、母親も黒猫だから黒い猫が生まれるだろう、と言う単純なパターンが存在していません。人の血液型で例えると分かりやすいのですが、例えばA型の父親とA型の母親からはA型以外にも可能性のある血液型が存在します。ABO式に当てはめると、父親がAO、母親もAOであった場合、O型の子供が生まれる可能性もあるのです。つまり、猫の模様が決まるパターンには、遺伝子が深く関わっています。
猫の柄は遺伝子に関係していた!
猫の柄は色・模様・長さや毛質を決める何種類もの遺伝子が複雑に関わり合って決まります。特に毛の色に関連している遺伝子は9種類あり、それぞれが優勢・劣勢(※)があるため、18種類の遺伝子で色が決まります。早速、それぞれの遺伝子を見ていきましょう。
(※)劣勢遺伝子と聞くと劣っているのかと思われがちですが、影響力が強いか弱いかの違いだけで劣っている訳ではありません。
- W(ホワイト)
- O(オレンジ・ブラウン)
- A(アグーチ)
- B(ブラック)
- C(カラーポイント)
- T(タビー)
- I(インヒビター)
- D(ダイリュート)
- S(スポッティング)
以上が猫の柄に関連する遺伝子です。本気で遺伝子について解説すると大変難しくなるので簡略化すると、例えば、WWの遺伝子を持つ父親(白猫)とBBの遺伝子を持つ母親(黒猫)からは、WB・WB・WB・WB(全員白猫)が生まれます。猫の色遺伝子の中でW(ホワイト)はとても強いため、優性に出やすいのです。
まとめ
白猫なのに物凄くフレンドリーで紳士な子もいれば、三毛猫なのに聞き分けが良くて優しい子もいます。柄による性格の違いは基本的なベースになりますが、育った環境によっても変わります。人と同じで、猫も個性色々。「猫だから○○」という固定概念にとらわれず、色々な個性と向き合って楽しみましょう!