猫の座り方は何種類?座り方で解る体調のこと

猫の豆知識 座り方にも意味がある?猫の座り方と気持ちを徹底解説!

執筆/ごまさば

猫にはいろいろな座り方があります。環境や気持ちや体調によって座り方を変えるので、飼い主さんは飼い猫の座り方を理解することで、さらに信頼関係を結んだり、体調の変化を把握することができます。ここでは座り方と猫の気持ちや病気の関係について解説してきます。

猫の座り方を観察すると?こんなことが解る!

飼い猫が普段どんな座り方をするのか観察して知っておくと、いつもと違った座り方をしたときに、リラックスした状態なのか警戒した状態なのか、また体調の変化があるかどうかすぐ気づくことができます。座り方ひとつひとつにも意味があるので、それぞれ解説していきます。

代表的な座り方6選

人間から見ると羨ましいくらい関節の柔らかい猫は、様々な座り方をします。代表的な座り方は6種類と言われていますが、座り方ひとつで猫の気持ちやリラックス度が解ります。猫の代表的な座り方である、スフィンクス座り、エジプト座り、しっぽ巻き座り、横座り、香箱座り、スコ座りについてそれぞれ詳しく解説します。

スフィンクス座り

スフィンクス座りとは、エジプトのスフィンクスをイメージしてもらうとわかりやすいですが、お腹を地面につけて後ろ足は折りたたみ体の下にしまい、前足は前に揃えて突き出した形の座り方です。犬の「伏せ」がこの座り方と同じです。スフィンクス座りは後述する香箱座りと似ていますが、前足を突き出す形がスフィンクス座りになります。

この座り方は比較的落ち着いた座り方ですが、前足を出していることからいつでも立ち上がり素早く行動できる体勢なので、周りに対して少し緊張や警戒している状態でのリラックスといえます。

エジプト座り

エジプト座りはお尻を地面につけて後ろ足は折りたたみ、前足をそろえて背筋を伸ばした姿勢の座り方です。名前の由来は、エジプト神話に出てくるバステトという女神が、猫の姿で座っているときのポーズに似ていることからこの名ついたといわれています。犬でいう「お座り」と似た座り方ですが、犬は左右の前足の間に隙間があることが多いですが、猫の場合は左右の前足をぴったりとくっつけて座ることが多く、また左右の前足の間に隙間がある座り方をする猫も稀にいます。

この座り方は周りをやや警戒している状態ともいえます。

しっぽ巻き座り

しっぽ巻き座りは、エジプト座りをしてから体にしっぽを巻き付ける座り方です。しっぽの短い猫では見られませんが、長い猫ではこの座り方をみることができます。また、お尻が寒いときや、しっぽを汚したくないとき、傷つけたくないときにしっぽを守る意味でも体にまきつけます。

この座りかたをする猫は、警戒心が強く几帳面な性格の猫が多いといわれています。

横座り

横座りとは、お腹と前足を地面につけて、後ろ足を横に出している座り方です。前足も横に出している座り方も横座りといいます。見た目が人間が正座をしたあと横に足を投げ出す形に似ていることから横座りという名がつきました。見た目が女性らしいことから女座りとも呼ばれています。

この座り方は、かなりリラックスしていますが、前足がしっかりと地面についているときは、何かあったときにすぐ動ける体勢なのでややリラックス状態で、前足を投げ出してほぼ横に寝ている状態のときはかなりリラックスしているといえます。

香箱座り

香箱座りとは、地面にお腹をつけて前足と後ろ足を体の下におりたたんでしまい込む座り方です。この状態の長方形の見た目が、茶道や香道で使われる香箱に似ていることから、香箱座りといわれています。海外ではパンの塊という意味の”Catloaf”と呼ばれています。

この座り方は、何かあったときにとっさに前足が出ず反応が遅くなるので、反撃も攻撃もできない状態のため、全く危険がないときや安心してリラックスしているときの座り方です。飼い主さんの近くでこの座り方をしていたら、危険もなく逃げる必要もないと信頼されている証拠でもあります。

香箱座りで気を付けたいのは、部屋の隅や暗い場所でひっそりと香箱座りをしているときです。もしかしたら、体調が悪いことを隠している可能性もありますので、しっかりと様子を見守りましょう。

スコ座り

スコ座りとは、スコティッシュフォールドによくみられる座り方で、人間のようにお尻を地面につけて後ろ足を大きく広げてVの字に地面につけ、開いた後ろ足の間に前足を置く猫背になる座り方です。見た目がおじさんのようなので、おじさん座りとも呼ばれています。スコティッシュフォールド以外の猫種は骨格的に難しい座り方になるので、背中を支えられていなければ長時間この姿では座れないとされています。

この座り方はお腹をだして無警戒な体勢なので、かなりリラックスしているときにみられます。

見た目も可愛いスコ座りですが、骨軟骨異形成症候群を患っており、痛む関節に負担をかけないためにこのような座り方になっている可能性が高いと言われています。もし愛猫がスコ座りをしていたら、かかりつけ医に相談をした方が良いかも知れません。

その座り方、病気が潜んでいるかも?

もともと猫は病気や体調不良を隠すことが多いといわれています。部屋の隅や暗い場所で香箱座りでじっとしているなどは、もしかしたら、体調が悪いことを隠そうとしているのかも知れません。また、身体のどこかに痛みがあり、いつもと違う座り方になっている可能性もあります。

座り方に変化が見られる病気としては、関節に関連する場合が多く見受けられます。愛猫の座り方がいつもと違うと感じたら、動物病院を受診しましょう。

骨軟骨異形成

骨軟骨異形成とは、骨の成長に異常が出てしまう遺伝子疾患です。痛む関節をかばうために、スコ座りという後ろ足を投げ出した姿勢をとります。重症化した場合には、手足の関節に大きなコブができてしまいます。特にスコティッシュフォールドに多い疾患と言われていますが、他にも、ペルシャ、マンチカン、アメリカンカールなどもなりやすいといわれています。

変形性関節症

変形関節症とは、関節内部の軟骨などがすり減り、変形してしまう疾患で、シニア猫や肥満気味の猫にがなりやすいといわれています。軟骨がすり減ると関節を動かすときに違和感や痛みを感じるようになります。そのため、歩行が困難になる、ジャンプをしなくなる、寝ている時間が増えるなど様々な症状がでます。関節が痛むため、痛む場所をかばうような座り方になります。

カリシウイルス性関節炎

カリシウイルス性関節炎とは、猫風邪のウイルスであるカリシウイルスが関節の中に入り込み炎症を起こす病態のことをいいます。カリシウイルス性関節症になると、複数の関節で炎症が起きる多発性関節炎を引き起こす可能性が高いといわれています。多発性関節炎は名前の通り、様々な関節の部位で痛みを伴う炎症がおきます。そのため、痛む場所をかばうような仕草をするようになります。

また、カリシウイルス性関節炎の原因であるカリシウイルスは、子猫やシニア猫、基礎疾患がある猫など、体力があまりない猫が感染すると、重症化し命の危険にさらされることもあるので注意が必要です。

まとめ

猫の座り方には、このようにいろいろな種類があり、それぞれ気分だけでなく体調などのサインも現れます。これらひとつひとつの意味がわかると、猫のことをさらに理解してコミュニケーションや信頼関係をさらに深めるきっかけにもなり、体調の変化にも早く気づきます。特に病気のサインを見逃さないように、普段から飼い猫の座り方をよく観察しておくことが大切です。

執筆者
猫飼い歴6年。 ブリショとマンチカン2匹の猫とドタバタでモフモフの日常を過ごしています。 キャットケアスペシャリスト資格あり。 いつか猫さまに関わる仕事にどっぷり浸かりたいので日々勉強中です。