花粉は1年中飛散していますが、特に春や秋は、花粉症の方には辛い時期だと思います。季節特有の難敵である花粉症ですが、実は猫も花粉症になるということはご存知ですか?
愛猫が決まった時期に体調を崩す、くしゃみや鼻水といった症状が見られるという場合は花粉が原因かもしれません。今回は猫の花粉症について、症状や対策を紹介していきます。
猫も花粉症になるの?
実は猫も花粉症になります。人間の花粉症は、季節性アレルギー性鼻炎と呼ばれ、花粉を吸いこむことで鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状が出ます。
一方、猫の花粉症では、花粉によるアレルギー症状を引き起こします。外に出ない完全室内飼育の猫でも、換気のために開いた窓から侵入した花粉や、外出した飼い主の衣服に付着して室内に持ち込まれた花粉で、アレルギーを起こしてしまうことがあります。
猫の花粉症の症状とは?
アレルギー性の様々な症状がでますが、特に多いのは下記のような症状です。
- くしゃみ・咳をする
- 鼻水がでる
- 身体のあちこちを痒がって掻きむしる・舐める
- 皮膚に発疹がでる
- 目やにの量が増える
- 目の周りが赤くなる・掻く
※猫の咳は人間がする「ケホケホ」「コンコン」という咳とは異なり、嘔吐をする前の様子と似ています。首を前に突き出し、舌を少し出した状態で、床に首やお腹をこすりつけるような体制になります。そのまま「ヒューヒュー」「ケフケフ」と喉の奥から音がでます。吐き戻す時のえずく感じと似ています。
特に気をつけたい症状は?
特に注意が必要な症状としては、身体の痒みや発疹を伴う皮膚炎です。猫は痛みには比較的強い動物ですが、身体の痒みは耐えられないようです。痒みを感じる場所を舐め続けたり、激しく掻きむしってしまい、炎症が広がる可能性があります。また、皮膚炎が重症化すると、化膿してしまうこともあります。
他にも、症例としては少ないようですが、花粉アレルギーによる喘息発作を起こしてしまう猫もいるようです。
猫の花粉症、どうやって診断するの?
アレルギー検査を行い、確定診断をします。アレルギー検査には、採血して抗体を調べる「アレルゲン特異的IgE検査」か、アレルゲンの可能性が高い物質を少量注射する「皮内反応試験」のどちらかになりますが、一般的にはアレルゲン特異的IgE検査を行う病院が多いようです。アレルギーの原因となった物質がわかると、治療や予防がしやすくなります。
※比内反応試験はアレルゲン物質に対してどのような反応を示すのか目で見て確認できますが、毛を刈った箇所の複数にアレルギーの原因が疑われる物質を注射するため、痛みを伴うこともあり、鎮静処置を施してから検査を行うことになります。技術面はもちろん、試薬や設備の問題からも、比内反応試験を行う病院は少数です。
猫の花粉症、治療方法は?
アレルギー物質に対して、下記のような「対症療法」を行います。
薬の投与
痒みや炎症を抑えるためのステロイド剤や抗ヒスタミン薬を投与します。これらの薬は、免疫の過剰反応を抑えるためのものです。人間の花粉症治療でもステロイドや抗ヒスタミン薬が処方されるので、時には同じ名前の薬が猫にも処方されることがあります。ただし、人間用の薬は猫には強すぎることもあるため、同じ薬だからといって共有するのではなく、猫には猫用の薬を使うようにしてください。
症状によっては飲み薬だけではなく、目薬や軟膏といった外用薬が処方されることもあります。目薬は涙や目やになどの目のトラブル改善に効果があり、軟膏などの塗り薬は皮膚炎の改善やかゆみを抑える効果があります。
エリザベスカラーをつける、洋服を着せる
皮膚が炎症を起こしているときや、外用薬を使用する場合には、患部の保護のためにエリザベスカラーや洋服を着せることもあります。
エリザベスカラーは、顔をかかない、体を舐めないようにするのに効果的なアイテムですが、周りが見えにくくなる、ご飯やトイレの時に邪魔になる、リラックスして眠ることができずにストレスを感じてしまう、というデメリットがあります。エリザベスカラーを嫌がる、気にしてリラックスしていないという場合には、ソフトタイプの物に変更する、術後服と呼ばれる、包帯のような形状の密着性が高い服を着せるなど工夫をしてください。
愛猫を守るための花粉症対策とは?
猫の花粉症は完全室内飼いでも発症することがあるので、花粉と接する機会を減らす対策が必要になります。基本的には人間の花粉症対策と同じです。
- 空気清浄機を使う
- 掃除はこまめに、徹底的に行う(掃除機だけでなく、水拭きまで行う)
- 濡れタオルで身体を拭いてあげる
また、花粉は飼い主の身体に付着して室内に持ち込まれることが多いので、外出から戻ったときにはブラシで洋服についた花粉を落としてから室内に入ることも重要です。
愛猫と春も心地よく過ごそう
春や秋は気温も穏やかになり過ごしやすい時期ですが、花粉症に悩まされやすい時期です。花粉が飛び始める前から花粉対策をしっかりしておくことで、花粉症を発症せず穏やかに過ごせます。猫は自分で予防や対策ができません。飼い主であるあなたがしっかりと予防や対策を講じて、愛猫の健康を守ってあげましょう。
まとめ
今回は猫の花粉症についてまとめました。花粉が舞う季節に愛猫の体調不良が見られたり、季節限定で鼻水や涙が出るといった症状がある場合は、愛猫が花粉症になっているサインかもしれません。猫の花粉症は病院で治療することでよくなるので、症状が見られたらすぐに受診しましょう。また、飼い主が花粉を持ち帰らない工夫も大切です。