猫の大きな魅力の一つはかわいい鳴き声です。ニャーとひとこえ鳴かれるだけでも可愛くてしかたがありません。長年暮らしている猫とは、なんとなく意思の疎通がとれているような気がする時もあります。中には「うちの子はおしゃべりする!」という方もいらっしゃいます。
猫は実際にどんな気持ちで鳴いているのか、猫の具体的な鳴き方と、鳴き声、その時の猫の気持ちを合わせて詳しくご紹介いたします。
猫はなぜ鳴くの?
猫は主にコミュニケーションの手段として鳴きます。お腹がすいた時、かまってほしい時、不安な時、怒っている時など、その時の気持ちを、親しい人間に伝えるために鳴いています。発情期に、求愛行動のひとつとしてもよく鳴きます。野生の猫たちはボディーランゲージなどでコミュニケーションを取るので、求愛行動以外であまり鳴くことはありません。
子猫が鳴くのはなぜ?
生まれてすぐの子猫は、目が見えませんが高めの声で「ミャーミャー」と母猫を求めしきりに鳴いています。子猫は母猫や他の手助けがないと生きていく事ができません。生後2ヶ月頃まではお腹が空いた時、排泄したい時、不安な時などに母猫を求めて鳴いている事がほとんどです。
生後4ヶ月頃からは、遊んでほしい時などに甘えた調子で鳴いたりと、鳴き方にもバリエーションも増えてきます。
大人猫がニャーというのは人間にだけって本当?
一般的に、野生の猫はあまり鳴きません。鳴く事で外敵から発見される事もあるからです。よく鳴く猫は、飼い猫か人馴れしている猫です。言葉でコミュニケーションを取る人間と生活していると、猫も鳴き声でコミュニケーションを取ろうとするからです。
子猫のうちはハイトーンで「ミャーミャー」と鳴きます。これは前述したように母猫へのアピールや甘えからくるもので、大人になってくるとその必要はあまりなくなってしまいます。大人になってから、「ニャー」と鳴くのは信頼している相手への信愛の現れなのです。
しかし性格によるところもあり、おっとりした性格の子や、飼い主に要求を伝える必要もないほど満足してい子は、あまり鳴かないこともあります。
猫が鳴くのは発情期?
春先から夏頃の発情期になると、雄猫も雌猫もとても大きな声で鳴きます。夜、外で猫達が鳴いているのを聞いた事がある方は多いのではないでしょうか。それは、猫達の少々うるさい愛のささやきなのです。
雌猫が鳴く場合
日照時間が長くなり暖かくなってくる春先と初夏の頃、年に2〜3回の発情期があります。通常の鳴き方より、お腹から出るような通る声で「ニャオオオォ」と鳴きますが、人間の赤ちゃんのようにも聞こえる事もあります。
雄猫が鳴く場合
雄猫は季節で発情するのではなく、発情期を迎えた雌猫と接触すると誘発されて起こります。発情期の雄は、攻撃的な性格になり、縄張りを主張するスプレー行為なども頻繁に行うようになります。雌猫と同じように、お腹から出るような、通る声で鳴きます。
鳴き声で知る猫の気持ち
猫の鳴き声は、コミュニケーションの一つです。近年は猫の鳴き声を翻訳するアプリなども気軽に手に入れる事もできますが、まずは猫がどんな気持ちでいるのか知るために、鳴き声に耳を傾けてみましょう。
短く「ニャッ」
「おはよう!」「やぁ!」のように、猫にとっての気軽なあいさつです。名前を呼ばれたり、何か声をかけられたりすると、返事のような感じで「ニャッ」と答えてくれる子もいます。
「ニャオ」「ニャオォ」
「ごはんちょうだい!」「あそんで!」など、何か要求がある時にこのような鳴き方をします。また、要求に応えてもらえて「ありがとう!」「嬉しい!」などの時にも見られます。ごはんをもらえた猫が、「ニャオニャオ」言いながら食べている様子が「うまいうまい」と聞こえる動画なども見かけます。
長く「ニャーーーン」
優しく穏やかな様子の時は、甘えたいアピールです。かまってほしい時、撫でてほしい時など、尻尾を立てて「ニャーーーン」とすり寄ってきたりします。逆に強い調子で鳴く時は、イライラしていたり不機嫌な時もあります。
ご飯場所の側、トイレの側であれば、「ごはんちょうだい!」「トイレ汚れてるよ!」など要求している時もありますので、その時の状況や仕草などで気持ちは異なってきます。
口を閉じて「ンー」「ウー」と低く唸る
あまり機嫌の良くない時に見られる鳴き方です。周囲を気にしながら口の中で籠るように低く唸ります。こういう鳴き方をしている時は、ヘタに手出しすると攻撃される事もあるので、そっとしておきましょう。
ゆったりとした雰囲気で、目を閉じているなどくつろいだ様子なら、安心している証拠です。この時唸るというよりは、ゴロゴロに音近い鳴き声です。
「シャーー」「フーッ」
尻尾を膨らませ、毛を逆立て、牙を剥き出しにします。見るからに怒っているのは一目瞭然で、このような時手出しは厳禁です。ケンカしている相手や、嫌な事をされて怒っている時など、敵意のある相手に対しての拒絶、威嚇行為として鳴きます。落ち着くまでしばらくそっとしておきましょう。
「ケケケッ」「カカカッ」
クラッキングと呼ばれる行為で、飼い猫にはよく見られる鳴き方です。猫は狩猟本能のある動物なので、鳥や虫、動くおもちゃなど何か動く物に目敏く反応します。そういった時にこのような鳴き方をしています。科学的根拠は解明されていませんが、捕獲対象を見つけ興奮状態にある時、またはそれを行動に移せず見ていることしかできない葛藤によるもの、と考えられています。
かすれた声で鳴く
甘えたい気持ちのアピールや信頼関係がある場合によく見られます。高い声のひとつ上のような、声にならないような鳴き声で鳴くので、サイレントニャーと言われています。
しかし生後1ヶ月ほどの子猫の場合、何か強い不安やストレスを抱えている可能性があるので、子猫のサイレントニャーが気になる時はよく観察し、生活環境や体調などを見直してあげるとよいでしょう。
ゴロゴロ喉を鳴らす
リラックスしている状態で喉をゴロゴロ鳴らしているのは、喜んでいる証拠です。喉や頭を撫でていてゴロゴロ鳴らされると、側にいるこちらも幸せな気持ちになってきます。実際に猫のゴロゴロ音は、人間にとっても幸福感をもたらす効果があるといわれています。喉が鳴っているのは振動によるものですが、しかしその仕組みはまだよくわかっていません。
また、状況によってそうでもない場合もあります。怪我をしている時、病気で苦しい時、分娩中など、危機的局面においても低音のゴロゴロ音を鳴らします。このような時猫はとても辛いはずです。早急に病院を受診しましょう。
いつもと違う鳴き声の場合
いつもと鳴き声や鳴き方が違うと感じた時は、猫に何らかの異変が起きている証拠です。心理的ストレスや、すでに体の異常が発生している可能性もあります。体の様子や、仕草、ごはんやお水の減り方、トイレの様子なども観察し、何か気がかりな事があれば獣医師に相談しましょう。
猫の鳴き声がうるさいときの対策とは?
屋内飼育でも、外で生活している猫でも、あまりに大きな声で鳴かれ続けると気になってしまいます。ましてや、毎夜家で鳴き続けられてはお家の方も寝られませんし、ご近所にもご迷惑になってしまわないか気になってしまいます。
発情期の声がうるさいという事でしたら、去勢、避妊手術で大抵は抑える事ができます。発情期の間でも手術する事は可能ですが、出血量が増えてしまう可能性があるので、できれば発情していない時の方が望ましいでしょう。
それ以外でうるさいという時、「お腹が空いた!」「トイレをきれいにして!」「かまって!」など、何か要求があって訴えているようなら、要望に応じてもらえれば静かになるでしょう。
うるさい鳴き声、予防できる?
猫鳴く事は何かの要求があっての行為です。その要求がわかっていれば前もって準備しておけば予防することができます。
夜寝る前の対策としては、お水やご飯などの補充、ひとりでも遊べるおもちゃなどを用意しておく事で、夜中にリクエストされずにすみます。
また、「うるさく鳴けば要求が通る」と学習されないように、静かに出来たらご褒美としておやつを与えたり褒めてあげて、「食べる、寝る、遊ぶ」のメリハリをつけるなど、日頃からしつけをしていくのも大切です。
病気のサインの場合もあるので気をつけて!
排泄中に悲鳴のように鳴き続けている場合、排泄行為に痛みなどを感じている可能性があります。尿路結石などの泌尿器系のトラブルは、猫が発症しやすい病気のひとつです。おしっこの量や、血尿、飲み水の量なども合わせて確認し、異常を感じたら早めに病院に行きましょう。
サイレントニャーとは違う様子のかすれた声で鳴く時、喉に炎症を起こしている可能性があります。猫風邪や、飼い主の留守中に不安でずっと鳴き続けているのかもしれません。風邪の様子がないようであれば、スキンシップなどでいたわってあげるのもよいでしょう。
生後1週間ほどの子猫が、低く鳴き声が大きい場合、難聴な恐れがあります。とはいえ通常の子猫の鳴き声がわからないと判断しづらいので、気になる時は早めに獣医師に相談するようにしましょう。
その他にも、鳴き声だけでなく行動や様子がおかしいというのは、何かのトラブルが起きている可能性が考えられます。鳴き声がいつもと違うと感じたら、体の状態や仕草、生活状態を観察し、異常があれば早めに病院を受診しましょう。
まとめ
野生の猫に比べ、人間と暮らす猫はよく鳴きます。大昔から生活を人間と生活を共にしてきた猫は、その関わりの中で鳴き方が変化してきたといわれています。
猫が何を考えているか、飼い主としては知りたいと思うこともあるでしょう。色々な鳴き方で語り掛けてくれる猫たちも、本当はもっと人間とおしゃべりしたいと思っているのかもしれません。