猫の顎に黒いブツブツ、猫ニキビの正しい取り方、予防法を解説

猫の健康 猫もニキビになる?猫のあごに出来る黒いブツブツ、「猫ニキビ」の治療法は?予防はできる?

執筆/佐藤 華

自由気ままな姿が可愛く、ペットとして大人気の猫。猫といえば、後ろ足であごの下をぽりぽりと掻いている姿を見かけたことはありませんか?実は、その可愛らしい姿はニキビが原因でかゆがっているのかもしれません。

今回はあごにブツブツができる「猫ニキビ」についてご紹介いたします。猫を飼っている方や、これから猫を飼う予定のある方は必見ですよ。

「猫ニキビ」とは?

猫の顎に出来る黒いブツブツ。猫ニキビって何?

猫ニキビは皮膚のトラブルの一種で、「ざ瘡(ざそう)」や「アクネ」と呼ばれています。毛穴に皮脂がつまり、黒ずんだ粒状のできものです。

人間のニキビと同じもの?

「猫ニキビ」は人間のニキビと似ていて、皮脂の分泌が多くなり毛穴が詰まることで炎症しニキビができます。

人間では男性ホルモンの影響や食生活の乱れ、脂性肌などが影響して顔や背中にできやすいですが、猫の場合はあごや口唇部によく見られ品種や年齢、性別に関係なく発生します。

また、猫の体に常在しているダニによって肌が炎症し、ニキビができることもあります。

猫のニキビはどんな症状が出るの?

猫ニキビの気になる症状。どんな症状がでる?

黒いゴマ状の粒がついている初期症状を放置しておくと、重症化して皮膚が膿んでしまう場合があります。

初期症状は、ゴマ粒ほどの大きさ

初期の症状は黒いゴマのような粒が、あごに付いている程度で猫に自覚はありません。

しかし、進行するとニキビ範囲の広がりや毛色の変化、脱毛や皮膚が厚くなりザラザラするなど、症状が悪化していきます。

かゆがって掻いたり、赤く腫れたりする

猫ニキビがさらに進行すると、かゆがって掻いたり赤く腫れたりします。

赤く腫れあがり猫がかゆみや痛みを感じる場合は、細菌が毛穴に入り感染したときです。頻繁にあごを物に擦りつけるような行動をしたり、後ろ足でかく動作が目についたりします。

放置すると出血を起こし、痛むこともある

猫ニキビを放置すると、出血を起こし痛むことがあります。

症状として皮膚が化膿しただれているときは、痒がっていても気づかずにそのまま放置してしまった場合です。こうなるとすでに感染はかなり広がっていて、出血を起こしていることが多いでしょう。猫にとっては非常に不快で、強い痛みを伴っています。

猫にニキビができる原因は?

なぜ猫の顎にニキビが出来るの?猫ニキビの原因は?

毛穴に皮脂がつまり細菌感染が起こることでニキビは出来ますが、実ははっきりとした原因は解っていません。

グルーミング不足

猫はいつもグルーミングで身体をキレイにしていますが、あごの部分は直接舐められないので、皮脂や汚れが残りやすい部分です。加えて、あごは皮脂腺が他の身体の部位よりも発達し、脂が出るためニキビができやすいと考えられます。

ストレスの強い環境

引っ越しをした、新しく子猫が来た、飼い主が忙しくてかまってもらえない、好きな場所をほかの猫にとられたなど、さまざまな環境の変化が猫にストレスをもたらします。

強いストレスから過剰に分泌された皮脂やフケが毛根にたまり、猫ニキビになる場合があります。過度なストレスでホルモンバランスを崩し、免疫力が低下することで猫ニキビができやすくなります。皮膚に持病を持っている猫は、ストレスで皮脂腺分泌が増加したり皮膚のバリア機能が弱まり、猫ニキビが起こりやすいと考えられています。特にアトピー性皮膚炎を持病に持つ猫は注意が必要です。

猫を取り巻く生活環境を見直して、ストレスの原因はないかよく観察してみましょう。実は猫がくつろぐお気に入りの窓辺に、近所の苦手な猫が来ていたなど、飼い主が気付いていないことがあるかもしれません。

また、食生活がストレスの原因になっていることもあります。生活環境は整えたのに、猫ニキビが改善しないという事でしたら、もしかしたら与えているフードが猫にあっていない可能性があります。フードが原因かもしれないと思われるのでしたら、掛かりつけ医に相談してみることをお薦めします。

汚れた食器に繁殖した雑菌

毎日フードや水を入れる食器は、食べ残しや猫の唾液などで雑菌が繁殖しやすくなっています。特にプラスチック容器は傷が付きやすいため、洗っても汚れが落ち切らないことが多く、細菌が繁殖したりカビが生えたりするので注意が必要です。

雑菌が繁殖した食器を使うことで、猫のあご下付近に雑菌が付着し炎症します。対策としては傷が付きにくいガラスや陶器製の食器に変更し、こまめに洗い清潔にしてください。水は最低1日1回交換しましょう。

ホルモンバランスの乱れ

避妊手術や去勢手術の後、猫ニキビができたという場合には、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。ホルモンバランスが乱れると、免疫力低下や皮脂の過剰分泌がおこり、猫ニキビを発症することがあります。手術以外にも、投薬によって一時的にホルモンバランスが乱れることもあります。

ダニの寄生

ニキビダニ(毛包虫)の寄生によって、猫ニキビになることがあります。ニキビダニは毛の根元(毛包)に寄生し、皮膚炎を発症します。顎周りの毛包にニキビダニが寄生することで、猫ニキビができるのです。

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アレルギー

猫が食事をする姿を観察していると、あごが食器に触れていることがあります。食器の素材があわず、アレルギー反応を示し、猫ニキビになることがあります。

「猫ニキビ」の治療法とは?

猫のニキビの治療法。猫ニキビに適切な治療法はある?

初期の段階でしたらお家でケアをすることができますが、しきりに掻く、皮膚が赤みを帯びているなど悪化している場合には、動物病院でしっかりと治療を行いましょう。

軽度の初期なら、お家で清潔に保つ

猫ニキビが初期で軽度の場合、お家で皮脂や汚れを取り除き、清潔に保つことで管理ができます。

ニキビの取り方は、お湯で湿らせた柔らかい布を優しく皮膚にあて、ふやかしながら取り除いてください。力任せにこすったり指で押したりして取ろうとすると、刺激で悪化し細菌が入り込む可能性があるので注意しましょう。

拭き取っても取れない場合は、猫用のシャンプーでマッサージするように汚れを取り、しっかり洗い流すのが有効です。ただし、猫によっては口周辺を触られるのを嫌がり、かえってストレスになる場合がありますので、猫が気にしていなければ様子を見るのも管理方法の1つとなります。

上記の方法を実践してもニキビが広がり、いつまでも治らない場合には、早めに動物病院で診てもらいましょう。

かゆがる、脱毛があれば病院へ

すでにかゆみがあり皮膚に脱毛や赤い部分が広く見られる場合は、患部の毛刈りや外用薬、薬用シャンプーなどの治療が必要となるので動物病院を受診しましょう。

細菌感染が重度で炎症が強い場合は、抗生剤の内服薬を処方されることがあります。

愛猫を猫ニキビにしないための予防法とは?

猫ニキビは予防できる?猫ニキビはどうやって予防すれば良い?

大切な愛猫を猫ニキビから守る方法は、ニキビが出やすいあごの部分を清潔に保つことが一番大切です。

日頃から皮膚の状態をチェックするとともに、繰り返し猫ニキビを起こしやすい猫の場合は、食後にあごをキレイに拭いてください。さらに、猫が普段から使用する食器は、細菌が繁殖しないよう隅々まで洗いましょう。

また、ケアしているのにニキビが治りにくい、あるいは繰り返してしまうときは、アトピーなど他の皮膚疾患も併発している可能性が考えられます。その場合は一度動物病院で相談してみると良いでしょう。

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まとめ

猫ニキビは放置すると悪化し、愛猫を苦しませてしまいます。日頃からあごや体調の状態、行動などをチェックし、猫ニキビにならないよう気をつけることが大切です。愛猫と健康で素敵な暮らしを送っていきましょう。

執筆者
会社員を経て、念願叶いライターとしてデビューしました。 猫4匹、犬1匹、人間ふたりの大家族なので、笑いと事件が絶えない毎日です。 読者の皆さまのお役に立てるような記事を執筆出来るよう、日々精進してまいります!