愛猫が甘えてくる時は飼い主にとっては嬉しいひとときですよね。猫を飼いたいと思っている方も、猫にスリスリされたりふみふみされたりすることに憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。
猫も性格は十人十色、解りやすく甘える子もいれば、そっとさりげなく甘えてくる子もいます。あなたは愛猫からの大好きのサインに気付いていますか?今回は、そんな猫の甘える仕草、大好きのサインについてお伝えしたいと思います。
猫が甘えてくる理由は?
猫は気分屋で孤独を愛するといわれますが、信頼している飼い主さんに対して甘える仕草を見せることがあります。特に子猫から一緒に暮らしている場合、猫にとって飼い主さんは母猫と同じ存在です。自然界では乳離れをし独立しますが、飼い猫の場合はずっと母猫(飼い主さん)と一緒にいるため、親離れができずに甘えるのです。
大好きだから
自然界で生きる猫科の動物は、乳離れがすむと単独で生きていかなければいけませんが、飼い猫は飼い主さんの庇護のもと毎日を過ごしています。ご飯をくれる、トイレを綺麗にしてくれる、くつろげる場所を提供してくれるなど、猫にとって飼い主はお母さんのような存在です。子猫がお母さんに甘えるように、飼い主が大好きだから甘えるのです。
甘えん坊な性格だから
猫の性格はそれぞれで、オスとメスの違いや飼育環境による影響を受けます。特に離乳前に母猫と離された(はぐれた)猫の場合、自分を育ててくれた人間を母親であると思い、甘えん坊に成長するといわれています。また、品種による影響もあり、例えばアメリカンショートヘアやメインクーンは、昔からワーキングキャットと呼ばれ人と暮らしていたためか、人懐っこい性格をしています。
最初はあまり甘えてこなくても、長い時間をともに過ごすことで甘えん坊になることや、老化の影響で甘えん坊になることもあります。
何かを要求している?
猫が甘えるような仕草を見せるときは、何かを要求していることがあります。それは、例えばお腹が空いている時、自分の匂いを付けたい時など様々です。また、先述したように、猫がゴロゴロと喉を鳴らしていても、それが低い音であった場合は猫が体調不良を訴えている可能性もあるため、猫から何かしらのサインがあったときは様子を伺い、柔軟に対応することが大切です。
甘えてこない猫は飼い主のことが嫌い?
飼い主さんを信頼しているからこそ、無関心になってしまう子もいます。猫は警戒心の強い動物なので、一見リラックスして眠っているように見えても、何かあった時にはすぐに逃げられるように常に警戒しています。飼い主さんが近づいても素知らぬふりをしている、気付かないという場合には、「この人は危険ではない。自分に決して危害を加えない」と解っているからです。べたべたと解りやすく甘えてこなくても、近づいた時に逃げたり隠れたりしなければ、愛猫から信頼されている証です。
猫が甘えている時の仕草&サインはコレ!
実は猫の甘えたい時のサインに飼い主が気つくことは、とても重要なことです。猫が満足するためにも、甘えたい時のサインにいち早く気がつけるようにするためにも、どのような仕草が猫の気持ちとして現れるのか、見ていきましょう。
甘噛み
甘噛みは元々、親猫や兄妹猫にかまって欲しいときや甘えたりするときの仕草のうちの一つです。
甘噛みする理由は様々ですが、撫でられて気持ちがいい時や手にじゃれて遊んでいる時に甘噛みする傾向があります。多頭飼育や親子で飼育している猫の場合は、お互いにじゃれて噛むことで力加減を学んでいきます。しかし、1匹の猫を小さい時から人の手で育てている場合は、最初は力加減がわからないため強く噛まれることがあります。その時は、「痛い!」と大きな声で言うようにし、徐々に噛んでも良い強さを覚えてもらいましょう。他にも甘噛みする理由としては、歯が痒い、遊びたい、かまって欲しい、不満がある、発情期のオスの本能などが理由であり、「甘噛みしてくる=甘えている」ではないこともあるため注意が必要です。猫が甘噛みしてきたときは、その時の猫の気持ちや状況を考えて対処すると良いでしょう。
喉をゴロゴロ
猫を撫でているときに気持ちよさそうな顔をして喉をゴロゴロと鳴らしている場合は、猫が安心していたり、撫でられていて喜んでいたりしていることを示しています。
猫がゴロゴロと喉を鳴らすのは生後1週間後から見られます。ゴロゴロと喉を鳴らすことで母猫との間でお互いにコミュニケーションを取ります。しかし、ゴロゴロと喉を鳴らす仕草は、身の危険や体調不良などでも見られることがあります。嬉しい時や甘えたい時のゴロゴロ音と比べると、低いゴロゴロ音を鳴らしている時は猫に異常があるかもしれませんので、気がついた場合は動物病院に通院することをお勧めします。
身体をスリスリ
猫が体をすりすりと擦り付ける仕草は、自分の匂いをつけることでその場所をマーキングする意味があるのと同時に、甘えたい時やおねだりしたいときに見られる仕草でもあります。
猫は縄張り意識があるため、自分のテリトリーにはマーキングする習性があります。猫の頬や耳の付け根など数カ所にある臭腺という分泌腺からフェロモンを分泌し、家具や飼い主にすりすりと擦り付けることでマーキングをします。また、猫同士でスリスリとしている時は、お互いの匂いを確認しながら猫同士の挨拶をしています。飼い主に対して軽くスリスリして、そのまま去って行くような仕草は猫流の軽い挨拶のような仕草だと考えられます。
前あしでふみふみ
猫が毛布や飼い主の足をふみふみしている光景はとても癒されますよね。そのようなふみふみする仕草はミルクトレッド、またはニーディングと呼ばれています。生まれたての子猫が母猫の母乳を飲む時に、乳腺を刺激し乳が出やすくなるように両手でおっぱいを揉む動作をします。この動作を成猫になっても覚えていて、猫のお腹が空いた時にアピールとしてふみふみすることがあります。また、甘えたい時や眠たい時に見られるサインでもあるので、様子を見て接してあげると良いでしょう。
頭突き
猫の頭突きは愛情表現の1種で、人や猫相手に見られる仕草です。
挨拶だけでなく、マーキングの1種として頭突きをすることもあります。他にも、メスからオス、子猫から母猫にする頭突きは、相手を自分よりも優位であると認識している場合があります。面倒を見てもらっている飼い主に対する頭突きもその1種の可能性があります。また、ご飯が欲しい時やトイレが汚く掃除して欲しいなどと言った要求が頭突きに現れることがあります。
おなかを見せてくる
猫にとってお腹は、防御力が低く、損傷してしまうと命に関わる内臓が詰まっているため、弱点な部位となります。そのため、お腹を触られることが嫌いな猫もいます。最大の弱点であるお腹を飼い主に見せるのは、絶対の信頼を寄せている証拠だと言えます。また、その居住空間への安心感からくるものやリラックスしている時、かまって欲しい時などにお腹を見せることがあります。ただし、夏になり気温が高くなると、猫が暑さを感じお腹を見せるように横になることがあるため、室温が高いと感じた時はエアコンなどを用いて快適な室温に調整してあげましょう。
見つめて高い声で鳴く
猫が飼い主の眼をじっと見て高い声で鳴いた時は、何かおねだりしたいのかもしれません。我が家の猫はご飯の時間の少し前になると飼い主を見て鳴くようになるので、おそらくご飯の催促をしているのかな、と思っています。他にも遊んでほしい時や、飼い主の気を自分に向けたい時に鳴くことが有ります。中には嫉妬しやすい猫が、飼い主が他の猫を愛でているときに嫉妬の意味を込めて、飼い主をじっと見つめたり鳴いたりすることがあります。
眼を細める
愛情表現の苦手なシャイな猫の場合は、お腹を見せたり甘えた声で鳴いたりすることはあまりないですが、控えめに気持ちを伝えてくることがあります。それが目が合うとすっと目を細める仕草です。もし愛猫と目があったときに目を細める、ゆっくりと瞬きをするなどの行動が見られたら、あなたも同じようにして「大好き」と伝えてあげてください。他にもご飯やおやつを食べているとき、眼を細めて「美味しい」と表現することや、リラックスしているときに目を細めることもあります。
しかし、眼を細めることは病気のサインの場合もあります。気分がいい時などに眼を細める場合は両眼を細めますが、片眼だけつぶっていたり、完全に閉じていたりする場合は病気や怪我のサインの可能性があるため注意が必要です。眼の病気は早く治療を進めれば眼薬の処方で良くなることもありますが、重症化してしまうと治療が長期にわたり、最悪の場合は失明してしまうことも考えられるため、少しでも眼に異常を感じたら速やかに動物病院に通院し診察を受けましょう。
しっぽを立てる
猫の尻尾は多くの役割を担っており、様々なサインを発するのに使われます。例えば、尻尾をブンブンと振り回している時はストレスが溜まっていてイライラしているのを示しています。猫が尻尾をピンと立てるのは、元々は子猫が母猫に近づく際に見せる動作です。尻尾を立てるのは、母猫がお尻を舐めやすくするためや、自分がいる場所を示すサインとして立てることがあります。猫が飼い主にしっぽを立てて近づいてきたときは、飼い主に甘えたいサインの可能性があるため、撫でてかまってあげましょう。
お尻を向ける
猫が飼い主にお尻を向けるのは、お腹を見せてくるのと同様に飼い主に対し絶対の信頼を寄せているからです。野生の本能であれば、警戒している相手に対して背中を見せることはありません。猫が近くでお尻を向けたときは、自分のことを信頼しているのだな、と思ってあげてください。また、撫でて欲しい時もお尻を向けることがあります。特に尻尾の付け根あたりを撫でられたり、ぽんぽんと軽く叩かれたりするのが好きな猫もいます。しかし、飼い主の遠くでお尻を向けて座っている場合は、ひとりにしてほしい、少し距離を置きたいなどといった気持ちのサインの可能性があるため、無理にスキンシップを取るのはやめておきましょう。
猫が甘えるタイミングってあるの?
猫によって様々ですが、ごはんが欲しい時に甘えるような仕草を見せる猫が多いです。また、飼い主が外出から帰った時や、数日会えなかった時などは強めの表現をすることがあります。お風呂上がりの飼い主の体に自分の匂いをつけようと体をスリスリと擦り付けることや、飼い主が新聞や本を読んでいるなど、他のことに夢中で猫のことをそっちのけにしている時に猫が甘えてくることあります。他にも夜眠たい時や朝起きた後などは甘えてくる傾向があります。
獲物を持ってくるのは甘えているの?
飼い主さんの中には、飼い猫が虫やネズミなどの獲物を狩って、わざわざ見せびらかしに持ってきた、といった経験がある方がいるかもしれません。獲物だけではなく、スリッパや靴下、小物などを決まって繰り返し持ってくる猫もいます。このような仕草は、獲れたものを自慢したい、飼い主に食料として分けてあげたい、安心できる場所で食べたり保存したりしようとしている、など様々な理由があると考えられています。そのため、もし猫が獲物を持ってきてしまった時は怒るのではなく、優しく褒めてあげて猫を満足させてあげましょう。その後、猫が見ていないうちにこっそりと処分しましょう。
男の子と女の子、甘え方の違いは?
あくまで一般論ですが、女の子と比べ男の子の方が成猫になっても甘えん坊であることが多く、よく遊びたがる傾向があります。女の子は気分屋であることが多く、甘えたい時とそうでない時の差が大きい傾向があります。まさにツンデレといったところでしょうか、それがとても魅力的な点でもあります。
猫が甘えてくる、こんなことに気を付けて!
猫に甘えられるのは飼い主にとって大変嬉しいことではありますが、気をつけなければならない点もあるので気をつけましょう!
発情期
去勢をしていないオス猫や避妊手術をしていないメス猫を飼っている場合、オスは生後9〜12ヶ月、メスは生後6〜12ヶ月ほどで発情期を迎えます。発情期を迎えると相手を探して外に出ようとする、匂いで相手を誘うために部屋中にマーキングをする、相手を求めて大きな声でなく、などの行動が見られます。なかには攻撃的になる猫もいます。特にメスの場合、オスに対して甘えたような声で鳴いたり、身体をこすりつけるようなしぐさをしますが、室内飼いで近くにオスがいない環境であった場合には、飼い主に向けてオスに対する行動を見せることがあります。
分離不安症
分離不安症とは飼い主への依存が強い猫に見られる病気です。飼い主が留守になり、ひとりぼっちで部屋に残されると強い不安やストレスを感じてしまい、トイレではないところでの粗相やマーキング、食欲低下など様々な症状が現れます。飼い主が現れるまで大きな声で鳴き続けてしまう猫もいます。分離不安症は飼い主から強い愛情表現を受けている猫や1匹でいることに慣れていない猫に発症しやすい傾向があります。猫が可愛いあまりに一緒にいる時はついついべったりしたくなりますが、在宅時と不在時のギャップが強調されてしまい、それが不安を増幅させてしまう可能性があるため、我慢して適度な距離感を取ることも大切です。
もし猫が分離不安症のような症状を示したら、留守にする時間を短時間から徐々に伸ばして1匹の時間を増やす、1匹でも安心できる場所を作ってあげたりするなど、対策を施す必要があります。分離不安症は心の病なので、対策を取る場合には個人の判断で行うのではなく、獣医師の指導のもとで行いましょう。
まとめ
猫が甘えたいサインを出してきた時は猫とのスキンシップをはかる大チャンスです!しかし、猫のサインを読み間違えると、かえって嫌われてしまったり、猫に大きなストレスがかかってしまったりします。適切なスキンシップを取ることは、猫の異変にいち早く気がつくことにもつながり、病気の早期発見にもつながります。距離感を適度にとり、時にはお互いが甘え合うような素敵な関係性を築けるといいですね。