2月22日は1年の中で一番「2」がたくさん並ぶ日です。この日が「猫の日」なのを猫好きの皆さんならご存知のことでしょう。
「猫の日」は猫を愛する学者や文化人達によって発足した「猫の日実行委員会」によって1987年に制定されました。猫は世界中で愛される存在ですが、このような猫の日は海外にはあるのでしょうか?
2月22日は猫の日、8月8日は何の日?
IFAWが2002年に8月8日を世界猫の日(「World Cat Day」 もしくは「International Cat Day」として制定しました。
IFAWとは、動物の保護などを行っている国際動物福祉基金(International Fund for Animal Welfare)という世界規模の団体で、世界中の動物たちの福祉向上のために1969年カナダで設立されました。世界各国に40か所以上の拠点を持ち、動物たちへの虐待防止、人災、天災などで被害を受けた動物たちを保護する活動などを、世界中で行なっています。 制定された8月8日世界猫の日に、具体的に何をするというのは特別に決められてはいませんが、この日には世界中の飼い猫、地域猫たちに思いを寄せて、SNSには#World Cat Dayや#International cat day などのハッシュタグでたくさんの投稿がアップされています。
日本ではなぜ2月22日が「猫の日」なの?
2月22日、「2(ニャン)」三つ並んでいるので、これを「ニャン・ニャン・ニャン」と猫の鳴き声に語呂合わせで読んで、「猫の日」とされました。日本人ならではの感覚ですよね。
2月22日以外の「猫の日」とは?
9月29日は、日本で古くから愛される縁起物である招き猫の記念日、「招き猫の日」と制定されています。
江戸時代の町人文化から生まれたとされている招き猫は、現代風にいうなら「ゆるキャラ」といった存在でしょうか?前足を片方上げており、右手は金運、左手は人を招くとされる縁起物です。さらには色によってもご利益が異なるそうなので大変ありがたいネコちゃんなのです。
9月29日は、「9(来る)29(ふく)」という語呂合わせでこの日になりました。9月29日は招き猫にちなんだお祭りなど、産地や日本各地の門前町で開催されています。
他にも、猫の殺処分ゼロを目指す公益財団法人「どうぶつ基金」は、3月22日を「さくらねこの日」と制定し、日本記念日協会に登録しました。「さくらねこ」とは、不妊手術を終えた目印として猫の耳をさくらの花びらの様にカットした地域猫のことです。年間3万頭近い野良猫が殺処分されていることをたくさんの人に知ってもらおうと、3(さくら)22(にゃんにゃん)の語呂合わせで、3月22日としました。
海外にもあった!世界各国の「猫の日」
「猫の日」は実に多くの国々で制定されています。
2月17日:イタリア・トルコ
3月1日:ロシア
4月4日:台湾
6月4日:アメリカ ネコをハグする日 (National hag your cat day)
8月17日 アメリカ 黒猫感謝の日 (Black Cat Appreciation Day)」
10月16日 アメリカ 全米野良の日 (National Feral Cat Day)
10月29日:アメリカ 猫の日(National Cat Day)
なんとアメリカには1年に4回も猫の日がありました!
また、イギリスの非営利団体『Cat Protection』は、2012年以降、8月8日の猫の日に、猫が人間のためにどれだけ奮闘し、感動を与えてくれたかを称えるため、「ナショナル・キャット・アワード」を毎年発表しています。
他にも、ベルギー西部の都市イーベルでは、3年に1度、5月の第2日曜日に「猫祭り」を開催しています。この祭りは、中世、悪魔的な存在として迫害された猫たちを悼むために行われています。当日は、世界中の猫好きた集結し、仮装パレードで祭りを盛り上げます。
どれだけ知ってる?世界の猫スポット
メディアで紹介された!?世界の猫スポット6選
最も有名なメディアのひとつでもあるアメリカのCNN.comが「世界6大猫スポット」という記事を公表しました。 アメリカ、イタリア、トルコ、台湾に加えなんと6選の中には2か所も日本がランクインしていました!
アメリカ ヘミングウェイ博物館
ノーベル賞作家であるヘミングウェイが生前過ごしていた邸宅が博物館として開放されています。ここで生活するのはなんと6本指の猫たちです。ヘミングウェイに愛された親指が2本ある猫の遺伝子を受け継いだ子孫たちが、ここで今もなお愛されています。
イタリア ラルゴ・アルジェンティーナ広場
イタリアはローマにある古代神殿の遺跡、ラルゴ・アルジェンティーナ広場一辺には「遺跡猫」と呼ばれるたくさんの地域猫が生活しています。地元の方々に愛され、遺跡内を気ままに散歩する姿が多くの観光客を呼んでいます。
トルコ カルカン
カルカンは、トルコ南西部にあるビーチを有する観光地です。トルコはどこに行っても地域猫であふれていますが、カルカンでもたくさんの人懐こい猫たちが訪れる人々をもてなしてくれます。
台湾 侯硐(ホウトン)
台湾の観光マップなどでは「猫村」として紹介されるほど、たくさんの地域猫と出会える土地です。2009年頃からSNSやブログなどで話題を呼び、現在の猫村が誕生しました。町中に猫の看板やお散歩マップ、カフェやお土産屋さんも立ち並ぶ観光客に人気のスポットです。
日本 田代島
宮城県石巻市の田代島は、100人に満たない島民よりも多くの猫が生活する小さな島です。港はもちろん、島のあちこちに猫や猫と人間の為のスポットやカフェがあり、島の中ほどには猫を祭る「猫神社」もあり、島の漁師たちを見守っています。
日本 相島(あいのしま)
福岡県新宮町の離島、三日月型の小さな島の漁港近辺エリアに、島民の数と変わらない200匹近い猫が暮らしています。古くから漁を営む島民と生活を共にしてきた猫たちは島を訪れる観光客にも愛される存在です。
他にもあった!猫に会える有名スポット
CNNの記事にはノミネートされていませんが、他にもたくさんの猫スポットが存在します。
- エルミタージュ美術館(ロシア サンクトペテルブルグ)
ロシアにも有名な猫スポットが存在します。ロシアでは多くの人がペットと共に生活をしていますが、その半数が猫を飼育している実は大変な愛猫家の国です。ロシアのサンクトペテルブルグにエルミタージュ美術館という、かつては王宮であった国立美術館があります。美術館には60匹ほどの猫たちが、職員や地域の人たちに愛されて生活しています。なんとこの猫たち、ネズミなどから展示品を守る警備員として活動しているのです!また毎年春になると「エルミタージュ猫の日」というイベントが開催され、普段は観光客の立ち入りを禁止している猫たちの職場、美術館の地下に入場することができます。
- トッレ・アルジェンティーナ広場(ローマ)
ローマの古代遺跡のひとつトッレ・アルジェンティーナ広場は、近年の研究から、共和制ローマ末期の政治家のひとりユリウス・カエサル(伊語:Gaio Giulio Cesare)が暗殺された場所ではないかと言われています。そんな歴史ロマン溢れるトッレ・アルジェンティーナ広場には、世界各国から支援金が集まるともいわれる猫のシェルターが存在します。このシェルターを運営する団体では、敷地内で暮らす猫たちの去勢・避妊手術、健康管理、里親探しなどを行っています。ローマ法王のペットに関する発言が、愛犬家愛猫家の中では物議を醸していますが、古代遺跡の中心にある猫シェルターは動物愛護に力を入れるローマだからこその取り組みですね。
- 谷中・根津・千住(東京都文京区~台東区)
下町情緒あふれる谷根千こと谷中・根津・千住界隈は、日本で暮らす猫好きだったら誰でも知っているのでは?招き猫専門店や猫をモチーフにしたスイーツが食べられるカフェ、食べ歩きに持って来いの肉球の焼き印が押されたドーナツなど、猫好きにはたまらない場所のひとつです。特に有名なのが「夕焼けだんだん」日暮里駅から谷中銀座商店街へと向かう途中にある坂に沿った階段は、古き良き昭和の景色が見ることができます。そしてこの階段は、暖かくお天気の良い夕暮れには、ここで暮らす地域猫たちが集まるスポットでもあります。階段の1段1段で、思い思いの姿でくつろぐ猫たち。ほっとできる空間です。
- キャット・キャビネット美術館(オランダ)
オランダ・アムステルダムにあるキャット・キャビネット美術館(Katten Kabinet(Cat Cabinet Museum)は、その名の通り展示されている作品の全てが猫のみという徹底ぶり。猫に関する絵画、写真、ポスター、スカルプチャーなど、幅広いジャンルの作品を楽しむことができます。特に絵画では、パブロ・ピカソ、レンブラント、サル・メイヤー、アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック、日本人画家、レオナール・フジタこと藤田嗣治などの世界的に著名な芸術家の作品が鑑賞できます。実はこのキャット・キャビネット美術館に飾られている美術品・グッズはボブ・メイヤー氏のプライベートコレクションで、1966年から1983年までの17年間共に暮らした愛猫、ジョン・ピアポント・モルガンくん(J・P・モルガン!?)を記念して1990年に設立されました。元は客室だった部屋や廊下を利用してコレクションを展示しているので、アートだけでなく、1960年代の建築様式やアンティーク家具も楽しめるつくりとなっています。
猫祭りにも注目!
2月22日は日本各地で様々な猫イベントが開催されますが、それ以外にも猫祭りが開催されていることをご存じでしょうか。その一部を紹介します。(注意:新型コロナ感染拡大により、規模縮小や中止となっている祭りもあります)
うすき猫祭り
大分県臼杵市にある福良天満宮には、臼杵商品の御霊を迎えた「招霊赤猫社」(おがたまあかねこしゃ)があり、猫の御朱印・御朱印帳、お守りやおみくじなど、猫モチーフのグッズがたくさんあります。毎年4月29日・30日に開かれる「うすき赤猫まつり」は、赤猫の仮装をした子供達が「赤猫おどり」を披露しながら町内を練り歩きます。「うすき茜子まつり」は、昔の臼杵商人にあやかって、福を招く「招福」、商売繁盛の「商福」、笑う門には福来るの「笑福」の、三つの福をもたらす縁起の良いお祭りです。
尾道イーハトーブ猫祭り
広島県尾道市で2014年から始まった「尾道イーハトーブ猫祭り」のコンセプトは、「いつもは静かな細道が、すこし不思議な猫の道」。祭りの会場入り口には、「人間の方へ 猫になってください」と張り紙がされてあるように、猫のペイントや仮想をしてお祭りに参加します。
にゃらまち猫祭り
毎年6月、奈良の旧市街地ならまちで開催される、猫をテーマにしたアートイベントが「にゃらまち猫祭り」です。猫好きの商店主たちが、猫に関連した商品やサービス、作品の展示、イベント、体験メニューなどを1ヶ月間に渡り提供し、商店街やならまちを盛り上げています。
かんなみ猫おどり
「かんなみ猫おどり」は、静岡県函南(かんなみ)町に伝わる、ある男が飼っていた猫がおどりを踊ったという民話に基づいて企画され、30年以上毎年8月上旬に行われています。お祭りでは地域の老若男女が猫に扮し皆で踊る全体踊りや、猫コスプレや創作ダンスを競うコンテスト、フィナーレには花火が夜空を彩るという構成になっています。
こまねこ祭り
京都府京丹後市峰山町は、江戸時代から絹織物の「丹後ちりめん」で栄えた織物の町です。絹糸を生み出す蚕をネズミから守ってくれる猫をとても大切にし、地元の糸商人や養蚕家たちは金刀比羅神社に養蚕の神・木島神社を建立し、一対の狛猫(こまねこ)を奉納しました。「こまねこ祭り」は、フリーマーケットやアート展示など金毘羅神社の周辺で行われるイベントです。江戸時代から続く猫愛溢れる街を、自由に散策するのも楽しみのひとつです。
世界中で愛される猫、その魅力とは?
ふわふわの毛、柔らかな肉球、くりくりとした目、かわいい鳴き声、ツンデレな子、甘えん坊、仕事の邪魔をするのが大好きな子など、個性もさまざまな愛くるしい姿の猫たち。最近では“猫吸い”(猫のお腹に顔をくっつけて深呼吸すること。注:嫌がる子にはしてはいけません!)で、癒されるという方もいらっしゃいます。
世界中で愛される猫ですが、その歴史は実に9,500年前にまで遡ります。
そもそも、人々が農耕を営むようになった頃からネズミ対策として猫が家畜化された事がはじまりと言われています。猫と人間のお付き合いもさることながら、ネズミvs猫の戦いもこの頃からかと思えばなんと因縁深い関係でしょうか。
長い歴史の中には、中世ヨーロッパを中心に一時猫が「魔女の手先」して迫害されていた時期がありました。 しかしこのためネズミが大量発生し、ペストが大流行してしまったのです。 猫は、心の癒しだけでなく物理的にも人間の生活を支えてくれていたのですね。
まとめ
日本では2月22日の猫の日ですが、世界各国にさまざまな猫の日が制定されています。
猫は私たちの生活に最も身近でかけがえのないパートナーであり、そばにいるだけで癒してくれる幸せな存在です。世界中の猫たちに感謝と愛をこめて、特別な猫の日を過ごしてみてはいかがでしょうか?