寒暖差や疲労などで免疫力が下がると、ウィルスや細菌に感染する事で人間は風邪をひきます。くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、発熱、下痢などの症状があり、対策をしないでいれば症状が悪化したり、他の人へうつす事もありますよね。 これは猫も同じ事がいえます。猫も同じように風邪をひき、さまざまな症状を引き起こします。 猫の風邪もウィルス性と、細菌性がありますが、その9割がウィルス性です。一度ウィルスに感染すると体内からウィルスが消滅することはありません。猫の免疫力が下がっていたりストレスなどをきっかけに、風邪の症状が再び発症します。
公園で風邪ひきの外猫と出会ったことがある、という方も多いと思います。屋外で暮らす猫の多くは常にウイルス感染の危険にさらされているため、たとえ無症状でもほとんどの外猫が猫風邪に感染していると言われています。猫風邪は人間の風邪と同様、猫がかかりやすい疾患のひとつです。
猫風邪、感染はどこから?
屋外で生活する猫たちは、そのほとんどが症状のあるなしに関わらず感染しています。くしゃみ鼻水などの飛沫のほか、グルーミングや猫同士の触れ合いによる接触で感染し、2週間ほどの潜伏期間の後、風邪の症状を発症します。
また屋内飼育のみだとしても、外猫や、ほかの猫たちと触れ合った飼い主を仲介して感染してしまうこともあります。
人間と似ている?猫風邪の症状
猫風邪というのは総称で、猫ヘルペスウィルスによってもたらせられる『猫ウィルス性鼻気管炎』と、猫カリシウィルスによる『猫カリシウィルス感染症』が主な病名です。稀にクラミジアやマイコプラズマなどの細菌が原因となる細菌性のケースもありますが、それぞれの症状が似ているので、原因を追究する事は困難です。
くしゃみや鼻水
人間の風邪と同じように、くしゃみをしたり鼻水がたくさん出たりします。鼻が詰まっていると嗅覚が鈍り食欲がなくなってしまうこともあります。
涙・目やにが増える
ウィルスが眼の炎症を引き起こし、目が赤くなったり、涙や目やにが増えて目をしょぼしょぼさせるようになります。大量に出ためやにが乾燥して固まってしまい、目が開きづらくなることもあります。
発熱・呼吸が早い・食欲がない
猫の平熱は直腸温で37~39℃前後です。直腸温の検温は自宅ではしにくい事ですが、発熱していると呼吸音がいつもより早くなったり、耳が熱くなったりします。ぐったりとして食欲不振になることもあるので、注意して見てあげる必要があります。
口内炎や舌の炎症が見られることも
口内に炎症が出やすくなり、口内炎や舌炎ができてしまうことがあります。そのせいで食欲不振になったり、口臭が強くなることもあります。
猫エイズや猫白血病と関係している?
猫エイズや猫白血病もウィルス性の感染症です。感染初期に風邪と似ている症状が現われますが、直接の関係はありません。
しかし、もし猫エイズ、猫白血病に感染していた場合、免疫力が低下することで風邪をひきやすくなったり、風邪の症状が重篤化し命にかかわる危険性が出てきます。
特効薬はない?猫風邪の治し方と治療法
人間の風邪と同様に、原因のウィルスを退治するような特効薬はありません。それぞれの症状を落ち着かせるために抗生物質の投与、インターフェロン療法で免疫力をアップさせるなどの対処療法になります。また、風邪を長引かせない、再発させないためにも、栄養価の高いバランスのとれた食事を与える必要があります。
風邪だから自然に治る?
軽い症状のみであれば、自然に治まることもあります。しかし、食欲の低下や食欲不振が見られる場合には、迷わずに病院に連れて行くようにしましょう。栄養がとれない、栄養が偏るといった症状は、黄色脂肪腫などの風邪以外の病気も併発する恐れがあります。
人間用の市販薬は絶対に飲ませない
人間用のお薬を猫に与えることは言語道断です!人間には薬になっても猫にとっては毒となる成分もあります。猫風邪のお薬は市販されておりませんので、必ず獣医師のもと処方されたお薬を与えましょう。
症状が治らない、ぶり返す…長引く時は
体内から消えることのないウィルスは、免疫力の低下やストレスによって再発してしまいます。生活環境の変化や、季節の変わり目、寒暖差などですぐにぶり返すこともあります。長引く時は獣医師に相談をして、食生活や睡眠環境などに気を配りながら見守っていく必要があります。
免疫力の低い子猫や老猫で気をつけること
子猫や老猫、またそのほかの疾患を抱えている猫にとっては、風邪も危険な病気です。重篤化すると肺炎や関節炎などを起こすことがあるので注意する必要があります。「ただの鼻づまり」などと軽視せず症状に気づいたら、早めに病院を受診しましょう。
猫風邪は人間にもうつる?
基本的に猫の風邪は人間にはうつりません。またその逆で人間の風邪は猫にうつりません。しかし、クラミジアという細菌が原因の場合、人に感染することが極稀にあります。風邪の症状がでている愛猫をお世話した後は、必ず石鹸で手を洗いましょう。
愛猫を守る予防法とは?
愛しい家族が風邪で苦しむ姿はできれば見たくないですよね。そのためにも、飼い主さんはきちんとした予防法や知識を身につけておく必要があります。
ワクチンは接種したほうがいい?気をつけることは?
人間同様に、ウィルス性の疾患は猫たちにもワクチンがあり接種することで予防が可能です。3種混合ワクチンでしたら、猫カリシウイルス感染症・猫ウイルス性鼻気管炎が含まれています。これらに加えて猫クラミジア感染症まで予防するのでしたら、5種混合ワクチンをおすすめします。
しかしこれも人間同様に副反応がでることもあります。接種するかどうかは飼い主さんの判断次第です。接種する場合はかかりつけの獣医師と相談をして、元気な時に受けられるようにしましょう。
多頭飼育で気をつけること
多頭飼育をしている場合、1頭でも風邪を引けばあっという間に猫たちの間で風邪が大流行してしまいます。症状が現われたら、なるべく早めに隔離飼育にして猫同士の触れ合いを避け、病院を受診しましょう。
まとめ
いかがでしたか?猫も人間も同じように風邪をひき、様々な症状に苦しむのは変わりありません。
しかし、苦しむ猫を助けてあげられるのは飼い主さんだけです。
そのためにも、猫ちゃんの日々の体調チェックや飼い主さんの帰宅後の手洗いうがい、定期的なワクチン接種など心がけていきましょう。
愛猫の健康を見守り健やかライフを一緒に過ごしていきたいですね。