一度、家族として迎えた大切な愛猫には、出来るだけ長くそばにいて欲しいと願うものです。大切な愛猫と末永くいっしょに過ごすために、猫が長生きするための秘訣をご紹介します。
猫の年齢は歯で見分けられる?
ペットショップからやってきた猫や、子猫の頃に貰い受けた猫などは、あらかじめ年齢もはっきりしていますが、元野良猫などを保護したり、保護猫を譲り受けたりした場合には、愛猫の年齢が分からないこともあるかもしれません。猫は生後1歳頃には成猫の大きさになるケースが多く、また種類や個体差によって大きさが違う場合も少なくはありませんので、外見のみから愛猫の年齢を判別するのは、少々難しいところでもあります。
そんな猫の年齢を見分けるにはいくつかの方法があり、その中のひとつが歯で見分ける、というものです。下記にて具体的な方法をご説明いたします。
歯の生え方
一般的に猫は、生後1ヶ月程で歯が生え始めて、生後2ヶ月頃までには、乳歯が生え揃うとされています。その後、乳歯が抜けて永久歯に生え代わるのは生後6ヶ月頃です。永久歯に生え変わる辺りから、猫は一気に成長が加速し、外見や体重なども大幅に変わっていき、成猫へと成長します。そのため、歯が永久歯に生え変わっているかを見てみると、若猫であれば大体の年齢が分かります。見た目は大きいものの乳歯のままの子猫などもいますので、年齢を識別する上でひとつの基準になると言えるでしょう。
歯の色
乳歯から永久歯に生え変わって1年目の頃には、永久歯は生え揃ったばかりで、真っ白でピカピカとした綺麗なi色をしています。しかし、猫の年齢が進むにつれて、歯にも摩耗や黄ばみ汚れなどが見られるようになり、3年目から5年目の頃を過ぎると、真っ白な歯をしている猫は少なく、ある程度黄ばんだ歯をしている猫が多くなります。
猫の年齢、人間の年齢にすると…?
猫は人間と比べると、格段の速さで成長します。おおよそ生後1年から1年半で成猫になると言われており、猫の年齢を人間の年齢に換算すると、あっという間に飼い主の年齢を超えていることも少なくはありません。猫が生後1年の頃には人間に置き換えると約18歳、2年で約24歳ほどまでに成長し、それ以降は、猫の1年は人間の約4年分に換算されると言われており、おおよそ人間の4倍の速度で成長していきます。
猫のシニアは何歳から?
健康具合などによって個体差はありますが、猫はおおよそ7歳の頃にはプレシニア、10歳でシニアになると言われています。猫の7歳は人間に換算すると、大体40代の半ば頃で、この時期から、徐々に老化が始まっていきます。若い頃は飛び回っていた愛猫の動きが鈍くなる、オモチャで誘っても乗ってこない、寝ている時間が増えたなど目に見える変化が出始める頃でもあります。
猫の平均寿命は何歳?
猫の平均寿命は、おおよそ15年程度と言われていますが、もちろん個体差があります。また、医療の進歩や、年齢に適したキャットフードなどが浸透したこと、ワクチン接種が一般的になったことなどもあり、最近では20年以上生きる長寿猫も増えてきています。
ギネス記録は何歳?
史上最長年齢を記録した猫は、世界ギネスに登録されています。ギネスに認定されている最高齢猫は、アメリカの一般家庭で飼育されていたクリーム・パフちゃんという猫で、その年齢は、38歳3日というご長寿でした。人間の年齢に換算すると約170歳で、これは猫としては非常に長生きした例です。なかなか類を見ない例ではありますが、これほど長生きする猫もいるようです。
飼い方で寿命は変わる?
可愛い愛猫に長生きをして貰いたいというのは、飼い主であれば誰でも望むことでしょう。長生きをしている猫には、何か特徴があるのでしょうか。そのひとつが、飼育環境だといわれています。
猫の健康をケアする方法は様々で、個体差もあるため、どれが最適とは一概には言い切れませんが、飼育環境が寿命に影響する部分は大きいでしょう。例えば、室内飼いの猫は室外で飼われている猫と比べると、平均寿命が長いと言われています。
野良猫の寿命は短い?
夏は暑く冬は寒いという厳しい自然環境の中で、お腹いっぱい栄養価の高いご飯が食べられることもない野良猫は、一般的に平均寿命が短いと考えられています。実際のところ、野良猫の寿命を正確に測るのは困難ですが、環境省や各地方自治体、動物愛護センターなどが発表している情報によると、野良猫の寿命は平均で3年から5年程度だとされています。
平均寿命が短い理由は、交通事故に遭遇する危険性、野良猫同士の喧嘩でのケガ、感染症にかかるリスクが高い、などが挙げられます。野良猫は好きな場所に行けて自由を満喫していると思う方もいらっしゃるかも知れませんが、厳しい自然環境のなか、栄養価の高いご飯をお腹いっぱい食べられず、そして危険と隣り合わせで生活しているのです。
室内飼いと室外飼い、寿命は変わるの?
2020年に一般社団法人ペットフード協会から発表された調査内容によると、室内飼いの猫の平均寿命は、16.13歳です。それに対して室外で飼われている猫の平均寿命は、13.57歳で、両者には大きな差が開く結果になっています。(引用:「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査 結果」一般社団法人ペットフード協会 https://petfood.or.jp/data/chart2020/3.pdf)
この結果を見ると、室内飼いの猫の方が長生きするということになります。その理由は、完全室内飼育では交通事故や猫同士の喧嘩によるケガのリスクが少ないこと、ウイルス性の感染症にかかる危険性が少ないことが挙げられます。
普段から外に出かける機会のある室外飼いの猫は、野良猫と同じように、事故やケガ、感染症にかかるリスクが高くなる傾向にあります。そのため、室内飼いと室外飼いの平均寿命に約2歳の差が出てしまうのです。
愛猫に長生きしてもらうための極意4つ
猫の寿命に影響を与える要素についてお話いたしましたが、猫に長生きしてもらうためには具体的にどんなポイントが挙げられるのでしょうか?
極意その1 食事の管理
健康への第一歩は、適切な食事と睡眠であることは人も猫も変わりません。飼い主として特に気を配りたいのは、愛猫の毎日の食事です。飼い猫は好きな時に好きなだけ眠ることはできても、食べるものを自分で選んだり確保することはできません。愛猫のためにより良い食事を選んであげるのが飼い主の役目といえます。
愛猫には市販のキャットフードを与えている方が多いと思います。数多く市販されているキャットフードの中には、「総合栄養食」と表記されているものがあります。総合栄養食は水と合わせて与えることで、猫に必要な栄養素をすべて摂取出来るため、愛猫の健康管理に非常に役立ちます。
また、量やカロリーを適切に管理することも大切です。愛猫がかわいい仕草でおねだりをしたり、物足りなさそうにしているのを見ると、ついついご飯やおやつを多めに与えたくなりますが、適正なカロリーを保つことは健康維持に繋がります。
欲しがるからと言って飼い主の食べている人間用の食事やお菓子を与えるのもご法度です。油や塩分、糖分などは、多くの場合、猫の身体には毒になります。
極意その2 住環境の整備
食事と睡眠は健康にとって必要なことですが、同じ位大切なのは住環境です。
上下運動を好み、高い場所で寛ぐのが好きという猫の習性を満たすために、キャットタワーやキャットウォークを設置すると良いでしょう。部屋の隅に段ボールで隠れ家を作ってあげるのも、猫の習性を考えた最適な方法です。しかし、飼い主と共存する部屋の中で、キャットタワーのような大きな家具を置く場所がない、賃貸物件なので壁にキャットウォークを設置出来ない、というお悩みもあるかもしれません。そのような場合には、家具の配置を工夫することで代用できます。
人間にとっては、日頃の暮らしの中で気にも留めないようなことでも、猫にとっては負担になることも少なくはありません。例えば掃除機やドライヤーの音、パソコンのキーボードを叩くカチャカチャ音は、猫の耳にはキーンという高い不快な音に聞こえます。極力、愛猫が不自由を感じずに暮らせるように、快適な居場所だと思ってもらえるように、愛猫はどんなことが苦手でどんなことが好きなのかを見つけながら、住環境を整えてあげることも、長生きにとっては大切なことです。
極意その3 運動の確保
外飼いの猫や野良猫は、縦横無尽に駆け回って過ごしますが、室内飼いの場合には、運動量が少なくなってしまいがちです。運動不足になると筋肉量が減り、肥満のリスクが高くなります。まるまると太った猫は可愛らしくもありますが、それは猫にとって良い状態であるとは言えません。肥満は糖尿病や心臓病、尿路結石症、高脂血症、関節炎、肝リピドーシスといった病気にかかってしまう可能性を抱えることになり、愛猫の寿命を縮めてしまいかねません。もしも、飼い猫が肥満になってしまった場合には、食餌療法も視野に入れて、適正体重に戻すようにしてあげてください。
運動量の確保をするためには、キャットタワーのような家具も勿論有効ですが、紐やゴムのついたオモチャを使い、狩りに見立てた遊びも適しています。猫にとっては運動量の確保とストレス発散になり、飼い主にとっては愛猫との大切なスキンシップの時間になります。毎日10分位、猫が飽きる素振りを見せるまで、遊んでみてはいかがでしょうか。
ただし、猫は気まぐれな動物です。いくら飼い主が遊びに誘っても知らんぷりをすることもあるでしょう。愛猫の気が向かないのであれば諦めるのも肝心です。遊ぶタイミングを決めるのは、あくまでも猫です。愛猫の遊びたいというサインを見逃さず、たっぷりとスキンシップを取ってください。
極意その4 健康管理
日頃の健康管理は大切ですが、時には猫が体調不良になってしまうこともあるでしょう。猫は体調が悪くなっても「具合が悪い」「ここが痛い」と飼い主に言葉で訴えられません。それどころか、不調を隠そうとします。食欲が落ちた、寝ている時間が長い、いつもと違う行動を取っているなど、少しでも気になる点があれば、動物病院を受診するようにしましょう。
病気の早期発見は、治療の上で非常に大切なことです。そのため、定期的な健康診断とワクチン接種も重要になります。最近では愛猫にワクチン接種を必ずしているという飼い主も増えていますが、ワクチン接種のタイミングで健康診断もすると良いでしょう。年齢によって内容は異なりますが、一般的な健康診断では血液検査、尿検査、糞便検査、触診、聴診、そして飼い主への問診があります。少しでも気になることがあれば、問診で質問することもできるので、愛猫の健康管理に役立ちます。病院によって健診メニューが異なる場合もあるので、かかりつけ医で確認してください。
まとめ
大切な愛猫には、末永くいっしょにいて欲しい、長生きして欲しいと願うのが飼い主というものです。猫を長生きさせるための秘訣は様々ですが、どれも猫が自分で心掛けたり気を付けられるものではなく、飼い主の努力が必要不可欠でしょう。一度家族として迎えたからには、飼い主として責任と愛情を持って、愛猫が長く元気で暮らせるような環境作りを心がけてあげてください。