生まれたばかりの生き物は、小さく、体力もありません。しかし、特に哺乳類は生まれてすぐに母親から乳汁(初乳)を飲み、たくさんの免疫をもらいます。猫の場合、およそ生後2〜3ヶ月で初乳の免疫効果が切れはじめ、この時期が病気や感染症にかかるリスクが高くなります。一度病気や感染症になってしまうと、体力のない子猫にとっては、命に関わる危険性も出てきます。
こちらでは、子猫のうちにかかりやすい病気と原因、治療を解説いたします。子猫と暮らしている方や子猫を飼う予定の方は、ぜひじっくりご覧ください。
子猫がかかりやすい感染症
感染症とは、体内に病原体が侵入し症状を引き起こす疾患です。成猫であれば大事にならない身近な感染症も、子猫にとっては重い事態を招く可能性がある上に、免疫力がまだ備わらないため感染症に比較的かかりやすいので、症状が見られたら早急に対処が必要です。特に感染症は伝染しやすく、多頭飼いや子猫をたくさん保護している場合はより注意が必要です。
耳ダニ感染症(耳疥癬)
耳の穴から鼓膜の手前まで、外耳と言われる部分に、耳ヒゼンダニというダニに寄生されて起こる外部寄生虫による感染症です。耳ダニを肉眼では見る事はできませんが、寄生されると、黒い耳垢が大量に出るのが特徴です。とても痒いので、仕切りに耳を掻いたり、頭を振る素振りが多くなります。猫同士の接触で感染するのが主な経路で、母猫が耳ダニに寄生されていると、子猫もほぼ感染してしまいます。
耳ダニは、自然治癒することはありません。治療するためには、市販の耳ダニ用駆虫薬でも可能ですが、子猫のうちには使用できない場合もありますので、まずは獣医師の診察を受け処方薬の使用をおすすめします。
回虫症
回虫症は、猫にとって最も身近な寄生虫感染のひとつで、主に猫の小腸内に寄生する猫回虫が原因です。猫の体内に寄生した回虫は、成長すると5~10cmほどの白色で細長い成虫になり、産卵して増殖をくり返します。卵は寄生した猫の糞便と共に排出され、2~4週間で成熟し強い感染力を持ちます。
下痢嘔吐、食欲不振、腹部の膨満などの消化器症状の他、脱水、発育不全などの症状が現われますが、健康な成猫であれば無症状なケースがほとんどです。免疫力の低い子猫や、回虫が大量に寄生した場合は、重症化する場合もあるので油断はできません。
成熟した卵を口から体内に取り込むことで感染しますが、子猫の場合は母猫から感染する母子感染も主な感染経路です。母猫がすでに回虫症に感染していると、幼虫が乳汁に入り込み授乳を介して子猫にも感染します。外から子猫をお迎えする時は、回虫に限らず定期的に寄生虫の駆除をすることで予防にもなりますので、糞便検査と合わせて獣医師に相談するとよいでしょう。検査で回虫症と診断された場合は、駆除薬を投与し駆虫を行います。錠剤や粉末、スポットタイプがありますが、投薬スケジュールは子猫の月齢や体調によって変わりますので、獣医師の指示のもと行うのがよいでしょう。通常は生後6週~3か月で2週間に1回、生後3~6ヵ月で月1回です。
条虫症
条虫は一般に総称としてサナダムシと呼ばれることが多い内部寄生虫で、瓜実条虫、マンソン裂頭条虫、猫条虫といった種類があります。猫の肛門からヒモのようなものが出ていたり、お尻の周りや糞便の中に米粒ほどの白い粒が付着しているのをみつけたら、猫の体内に条虫が寄生している証拠です。
主に小腸内に寄生して栄養を奪い成長し、長さ1メートル以上になる事もあります。健康な成猫であれば、まれに下痢嘔吐を伴うケースもありますが、ほとんどの場合は大した症状を引き起こす事はありません。子猫や老猫、基礎疾患のある猫の場合は、栄養不良になり低血糖や貧血を起こす可能性があります。子猫の場合は特に、栄養失調により体重が増えにくくなり、成長が遅くなる場合もあるので、条虫症が疑われたら、早めの駆虫が必要です。
条虫は、ノミやネズミなどの中間宿主を経て、猫に感染するのが主な感染経路です。そのため、条虫を駆除する場合、ノミも一緒に駆除する必要があります。駆虫薬は、背中に垂らすスポットタイプや服用するタイプは市販でも購入できますが、病院で注射する事もあります。どのタイプにするにせよ、条虫の種類によっては必要量が異なりますので、気づいたら早めに獣医師の診察を受けましょう。
コクシジウム症
コクシジジウム類という原虫が小腸内に寄生して増殖して、消化器官にダメージを与える感染症です。虫というよりアメーバのような形状で、非常に小さく顕微鏡でないと確認する事はできない大きさです。コクシジウム症に感染しても健康な猫であれば、あまり発症する事はありませんが、免疫力が下がっている猫や子猫は、下痢、嘔吐、腹痛などの症状が現れご飯が食べられず、栄養失調や体重低下、脱水症状を引き起こします。体の小さな子猫にとって、過度の脱水症状や体力の低下に伴う低体温は、すぐに命の危険に繋がってしまいます。
下痢嘔吐が続く場合はすぐに動物病院で糞便検査を行いましょう。便の中に、コクシジウムのオーシストという卵のような物がないか検査を行います。1度の検便では発見できない場合もあるので、獣医師と相談しながら対処して下さい。コクシジウムが発見された場合、サルファ剤という薬を症状によっては複数回服用します。
注意しなくてはならないのは、コクシジウムは寄生した猫の糞便に混じって排出されることです。排出されたコクシジウムがなんらかの事情で口から入ってしまうと、駆虫薬を投与しても再びコクシジウムが体内に入ってしまい、いつまでたっても駆虫が完了しません。コクシジウムは次亜塩素酸では駆除できません。100℃以上の高温で死滅すると言われていますので、子猫の住環境を熱湯消毒する必要があります。
皮膚真菌症(皮膚糸状菌症)
皮膚真菌症(ひふしんきんしょう)は、簡単にいえば猫の皮膚にカビが生えてしまう感染症です。身近な例では人間でいう水虫もこれにあたります。手足や顔の周りに発生しやすく、被毛が円形に脱毛し、皮膚が赤くなったり、その周りにフケが発生したりします。
免疫力の低い子猫や、老猫、基礎疾患のある猫に発症しやすく、長毛種も発症しやすい傾向にあるといわれています。また、皮膚真菌症は人獣共通感染症で、人間も免疫力の低い老人や子供にも感染してしまうので、猫に脱毛などの症状をみつけた時は、速やかに動物病院の受診をおすすめします。
治療は抗真菌薬を用いますが、完治するには2ヶ月以上かかる場合もあります。服用するタイプの抗真菌薬は、長期間の使用が子猫の消化器官に悪い影響を与える可能性もあるので、主に外用薬の塗布や抗真菌薬のシャンプーで治療します。一度皮膚真菌症を発症すると、屋内や寝床には真菌が付着した被毛やフケが残ってしまい、再度発症してしまう事が多く、完治し辛い感染症です。清掃や、洗濯、消毒でこまめに被毛、フケを取り除く必要があります。
子猫がかかりやすい疾患
子猫は免疫力が弱く、注意していても生活環境や季節によっては病気になってしまいます。体力もないので重症化するリスクも高く、異常が見られたら早めの対処が必要です。
上部気道感染症(猫カリシウィルス感染症群、猫ウィルス性鼻気管炎)
一般的に「猫カゼ」と総称されていますが、猫ヘルペスウィルスによるものと、猫カリシウィルスによる感染症があります。免疫力が下がった状態で感染すると、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、結膜炎、口内炎など風邪の諸症状を発症します。一度ウィルスに感染すると、回復してもまた免疫力が下がっている時に再発してしまい、基本的に完治する事はありません。
子猫の場合、母猫の乳汁からの抗体移行で生後1〜2ヶ月は比較的発症しにくいのですが、抗体の効果が切れはじめる2〜3ヶ月頃は特に注意が必要です。子猫のうちは体力もなく、一度風邪をひくと重症化してしまう可能性もあるので、異変に気付いたら早めに動物病院を受診しましょう。治療は症状にあった投薬処置になりますが、一般的には、症状に合わせた対処療法の他、免疫力を高めるためのインターフェロン療法や抗生剤を投与したりします。
猫パルボウィルス感染症(猫汎白血球減少症・猫伝染性腸炎)
子猫が感染しないよう気を付けるべき恐ろしいウィルス感染症として、パルボウィルス感染症があります。パルボウィルスというウイルスによる感染症で、猫汎白血球減少症、猫伝染性腸炎ともいわれており、感染すると致死率は75~90%と高く、恐ろしい感染症です。
主な症状としては、下痢嘔吐、発熱、食欲不振、脱水などがあります。ウィルスが骨髄で増殖すると白血球減少を引き起こし、腸でウィルスが増殖すると激しい下痢嘔吐を引き起こすなど、体内器官によって様々な深刻な症状もたらします。生後間もない子猫が感染すると、小脳にウィルスがおよび神経細胞が破壊され、うまく動けなくなってしまうケースもあります。
パルボウィルスには抗ウィルス剤がないので、症状に合わせた対処療法を行い、猫が回復し、ウィルスが弱まるまで続けられます。一度完治すると、体内に免疫ができるので、再度かかる事はなくなりますが、回復できずに命を落とす猫も少なくありません。
感染した猫の糞便や嘔吐、被毛などウィルスが付着した物に接触すると感染します。パルボウィルスは生命力の強いウィルスなので、次亜塩素酸でしっかりと消毒する必要があります
猫エイズウィルス感染症
「猫エイズ」として、多くの愛猫家に恐れられている感染症です。猫免疫不全ウィルスに感染することでエイズウィルスを保有しているキャリアとなります。キャリアの猫とケンカによる咬傷感染や、傷を舐められたりする体液の接触で感染してしまいます。屋内飼育の猫は感染する機会はあまりませんが、外で生活している猫の10%が感染しているといわれています。予防のワクチンがあるので、完全屋内飼育だとしても、脱走などもしもの時に備えるなら接種しておく方が安心です。
母猫がキャリアであった場合に、確実に母子感染してしまうというわけではありません。新しく子猫を保護、お迎えする時の血液検査は必須ですが、母猫からの抗体移行で血液検査が陽性と判じられる事があります。生後6ヵ月以内で陽性と結果が出た時は、再度検査の必要があります。
もし、猫エイズウィルス感染症になった場合、治療する事はできません。猫エイズはとてもゆっくりと進行する病気です。また、猫エイズウイルスキャリアになったからといって、全ての猫が発症する訳ではありません。発症しないまま、天寿を全うする猫もいます。正しい知識を身につけて、生活環境や体調管理など細やかな配慮を心掛け、生活していく必要があります。
猫白血病ウィルス感染症
白血病とはいっても、一般的に人間の白血病とは違い、ウィルスの感染により起こる白血病です。猫白血病ウィルスは猫エイズウィルス感染症と同様にキャリア猫とのケンカによる咬傷感染の他にも、グルーミングや食器の共有による唾液を仲介した感染、母子感染や授乳による感染の可能性もあります。
血液検査により感染の有無を調べられますが、猫の体内の免疫力がついてくると一度陽性反応が出ても、後の検査で陰性に変わるケースもあります。猫白血病ウィルスを治療で駆除する事はできないので、猫の体調を見ながら対処療法をする他、抗生剤の投与、免疫力を高めるインターフェロン療法を行います。
発症すると、初期症状として発熱、下痢、リンパ節(あごの下や四肢の付け根など)の腫れ、食欲不振、口内炎など猫風邪とあまり変わらない症状引き起こしますが、徐々に落ち着いてくる場合もあります。しかし、免疫の低い子猫が猫白血病ウィルス感染症になると、体内でウィルスが増殖し続ける持続感染という状態になりやすく、他の病気を併発し多くの子猫が命を落とす恐ろしい病気です。外で生活している猫はおよそ半数がキャリアといわれていますので、屋内飼育の猫ももしもの時に備えて予防ワクチンを接種しておくと安心です。
猫伝染性腹膜炎
猫伝染性腹膜炎は、数ある猫の病気の中でも最も恐ろしい病気のひとつで、子猫が感染すると命を落とす確率は非常に高い感染症です。
猫伝染性腹膜炎ウィルスは、猫腸コロナウィルスの変異体です。猫腸コロナウィルス自体は下痢を引き起こすくらいの毒性の低い病原体ですが、猫の体内に長く居座るうちに猫伝染性腹膜炎ウィルスに変異し、急激に悪化します。変異の原因はまだはっきりと判明していません。
症状は発熱、食欲不振、下痢嘔吐、体重減少の他に、胸膜、腹膜、血管に炎症を起こして水がたまるウェットタイプと、炎症を起こした組織が肉芽腫となるドライタイプがあります。生後12か月未満の猫に多く見られますが特に進行が早く、判断の遅れが最悪の事態となる可能性があります。猫エイズウィルス感染症や猫白血病ウィルス感染症に罹っている猫もまた、猫伝染性腹膜炎の発症率も高くなります。
治療法は抗生剤や利尿剤などを投与しますが、完治するための治療はいまだ確立されておらず、発症した場合の生存率は極めて低い致死の病です。
低血糖
低血糖とは、血液中のグルコースの濃度が低くなり痙攣、意識の喪失、下半身四肢の麻痺、場合によっては失明する場合もあります。
子猫の場合は、一度にたくさんのミルクを摂れないため低血糖を起こしやすく、6〜12時間の絶食でも低血糖の症状を発症する可能性があります。また体の冷えや、内臓障害で栄養を摂れない場合も原因となります。低血糖を起こさないためには、体を冷やさないように室温に気をつけて、こまめにミルクを与える事が肝要です。
もし、低血糖の症状が見られたら早急な処置が必要です。吸収の良いブドウ糖液を与えたり、意識のないような時はガムシロップを口内に少々塗り込んで応急処置を施してから獣医師の元に急ぎましょう。
脱水
脱水状態は、体内の水分量が足りなくなったり、ナトリウムなど電解質のバランスが崩れてしまっている状態です。飲水量の不足や、下痢嘔吐で大量に水分を排出してしまうと脱水症状を引き起こします。子猫の場合は感染症による下痢嘔吐、食欲不振で脱水状態になりやすく、体調が優れない様子の時は注意が必要です。
脱水状態になると歯茎や目元が乾いたり、反応が鈍くなったりするのですが、一番わかりやすいのは皮膚の弾力低下です。「テントテスト」いい、首元の皮膚を引っ張っても弾力がないので戻らず、テントのような形になります。脱水状態がひどいほど皮膚は戻りにくくなります。
脱水の症状が見られたら、まずは授乳の回数を頻回にしてたくさん水分を与えるようにしましょう。人間では、経口補水液を摂ることで回復が早まりますが、人間用は糖分が多すぎるので、猫用を与えるようにして下さい。
先天性疾患
先天性疾患は、生まれつき抱えている疾患で手足の奇形や関節の整形不全、口蓋裂など目に見えるものから、心疾患や水頭症、小脳形成不全など目には見えない疾患を抱えて生まれてくる事もあります。特に目に見えない先天性疾患は重篤な事態を引き起こす可能性もあり、根気よく治療が必要になる場合もあります。
これって病気のサインかも?子猫のこんな症状に注意!
体も小さく免疫力も弱い子猫は、成猫とされる1歳を過ぎる頃までは多少の病気も重症化するリスクが高くなります。体調の変化やいつもと違う様子が見られたら、早めに対処する必要があります。子猫をお迎えする際は、あらかじめ動物病院の場所をチェックしておいたり、猫を入れるキャリーも怖がらせないよう慣れさせておくといいでしょう。
下痢
季節の変わり目や生活環境の変化でも、繊細な性格の猫にとっては大きなストレスとなり、猫風邪や胃腸炎、寄生虫感染などで下痢をしてしまう事があります。下痢が2度3度と続いたり、嘔吐やくしゃみ鼻水といったほかの症状も見られるようでしたら、獣医師を受診しましょう。下痢が長引けば、脱水や栄養不良を引き起こし、他の感染症になってしまう可能性もあります。
元気いっぱいな子猫の場合は、おもちゃやビニールなど遊んでいたものを誤飲してしまい下痢を起こしている可能もあるので、普段の様子も気にかけてあげましょう。
嘔吐
猫はもともと吐き戻しをしやすい生き物なので、早食いのせいでごはんやミルクを吐いたり、グルーミングで溜まった毛玉を吐いている時はさほど心配する必要はありません。しかし、1日に何度も吐いていたり、吐いた内容に血が混じっていたりする時は、異物誤飲や胃腸炎、感染症を起こしている可能性があります。下痢や食欲不振、元気がないなど他の症状がないか注意して見て異常があるようなら獣医師を受診しましょう。
発熱
猫の平熱は37℃後半~39℃ほどですが、感染症や炎症を起こしている時や、どこかケガをしていると発熱する事があります。猫が発熱すると40℃以上になる事もあり、耳が赤くなり、触ると普段とは異なる熱さを感じるようでしたら、熱が出ている可能性があります。よほど騒いだ後でない限りは、猫が発熱をしているのは何らかの症状が現われている状態なので、早めに動物病院を受診しましょう。子猫をお迎えしたら平熱がどれくらいなのか把握しておくとよいでしょう。
めやに
猫の目にめやにがたまっていたり、まぶたの縁が充血している時は、ウイルス性の感染症の可能性があります。ウィルス性の感染症は一度かかってしまうと、免疫力が下がっている時に再発するので、季節の変わり目やストレスがたまった様子の時は注意が必要です。ウィルスが再び暴れだすと結膜炎や角膜炎を引き起こします。
片目だけに目やにが溜まっている時は、目にゴミや被毛が入っている場合や、目に傷がある可能性が考えられます。めやには無理に取ることはせずに、獣医師を受診し適切な点眼薬とケアを指導してもらうとよいでしょう。
子猫のうちにしておくべき検査と病気の予防
子猫は母猫の乳汁(初乳)を介して譲り受けた抗体の抗力が生後2〜3ヶ月で切れ始め、この頃から病気に罹りやすくなります。生活環境のため母猫から授乳を受けられなかった子猫は、生後間もない時から感染症のリスクに晒されている事になります。子猫を迎えるにあたって、外猫や保護猫の場合は特に健康診断や血液検査は必須で受けるべきでしょう。子猫自身の健康はもちろんですが、先住猫がいる場合に感染する可能性が高いからです。
子猫のうちに受けておいたほうがいい検査と予防!
子猫をお迎えする時は、子猫がどこから来たのかで必要な検査が変わってきます。
ペットショップやブリーダーからお迎えするのであれば、一通りの検査やワクチンが済んでいることが多いですが、ワクチン証明書できちんと確認しましょう。ご自身で子猫を保護した時や保護猫をお迎えする場合には、早めに動物病院を受診すると安心です。
- 健康診断を受ける
健康診断の基本の内容は、身体測定、検温、触診、聴診、歯の状態のチェック、尿や糞便検査、血液検査となります。
ペットショップやブリーダーを介してやってきた猫は、基本的に検査済みのはずですが、外からお迎えする猫は早めに健康診断を受診するようにしましょう。異常が早めにわかれば対処もできますし、その後の猫の成長にも大きく関わってきます。
- ワクチンを接種する
ウィルス性感染症は、多くがワクチン接種で予防が可能です。単体での摂取もできますが、混合ワクチンを接種するのが普通です。
3種混合 猫ウィルス性鼻気管炎・猫カリシウィルス感染症・猫汎白血球減少症
4種混合 3種混合+猫白血病ウィルス感染症
5種混合 4種混合+猫クラミジア感染症
屋内飼育の猫ならコアワクチンともいわれる3種混合でも十分ですが、屋外にも出入りする猫や多頭飼育の場合には、4種、5種のワクチンを接種した方が安心です。単体で受けるワクチンとして、猫エイズウィルス感染症と狂犬病のワクチンもあります。
子猫のワクチン接種は、母親の抗体がなくなる2〜3ヶ月頃から打ち始めます。母猫のいない生活環境であれば、もっと早い方がいい場合もあるので、獣医師に相談するとよいでしょう。1回目のワクチン後は、1ヶ月おきに2回追加接種します。最後の接種から1年ほどたってから追加で接種すると、より強固な抗体を身につける事ができます。世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチネーションガイドラインでは、成猫になってからも1年〜3年に1回のワクチン接種を推奨しています。
- 寄生虫の駆虫と予防
外からお迎えする子猫は、ほとんどが何かしらの寄生虫を持っていると思っていいでしょう。猫が感染する寄生虫は大きく分けて3タイプあり、外部寄生虫、内部寄生虫、フィラリアとあります。
市販薬での駆虫や予防も可能ですが、寄生虫の種類や子猫の体調や成長によって駆虫スケジュールも変わってきますので、寄生虫が疑わしい時は一度獣医師に相談しましょう。一度駆虫が完了すれば、外にお出かけしない限り再発はありませんが、予防のためにも年に1回は駆虫するとよいでしょう。
- 日常のお手入れ法も教えてもらおう
初めて猫を飼うという方や子猫と触れ合うのが初めてという方は、獣医師から日々必要なお手入れとやり方を教えてもらいましょう。
歯磨きや爪切りは苦手な猫も多く、子猫の頃から習慣付けておく事が大切です。
- 去勢・避妊手術について相談しておこう
猫の繁殖を望まないのでしたら、去勢・避妊手術は猫の健康にとって必要な手術です。一般的に生後6ヶ月以降で施術できるようになるといわれていますが、性成熟には個体差があるので獣医師と相談の上、スケジュールを確認しておきましょう。
まとめ
とても小さくか弱い子猫の生存率は50%といわれており、外猫の場合はさらに低くなります。子猫は決して1匹では生きていけません。飼い主となる方は、責任を持って子猫のお世話に臨まなくてはなりません。
子猫といわれる時期は、1歳を迎え成猫になるまでの短い間です。かけがえのない大切な時を健康に過ごすためにも、飼い主さんはワクチンや健康管理について正しい知識を身につけ、子猫との素敵な生活を送ってください。